【ウェブ解析士が解説】GA4とサーチコンソールでサイトの現状を正しく把握する方法

【ウェブ解析士が解説】GA4とサーチコンソールでサイトの現状を正しく把握する方法

執筆者:宮崎真一(SEO検定1級・ウェブ解析士)

戦略的ウェブ制作工房「エル・タジェール」代表。
デジタル庁デジタル推進委員
データ分析に基づくWordPress制作とウェブマーケティング支援を専門とし、これまで150社以上のホームページ制作・改善を手がける。「作って終わり」ではない、成果につながるサイト制作をモットーとしています。葛飾区を拠点に全国の会社様とお取引中。 詳しく見る

「サイトの調子はどうですか?」と聞かれて、明確に答えられますか?

多くの企業が「なんとなく見てもらっている気がする」「Google Analyticsは入れてあるけど見方がわからない」という曖昧な状況に陥っています。このような状況では、効果的なサイト改善は不可能です。

サイト改善の第一歩は、現状を数値で正確に把握することです。今回は、ウェブ解析士として多くの企業サイトを分析してきた経験から、本当に重要なデータの見方をお伝えします。

なぜアクセス解析が改善の出発点なのでしょうか

データがなければ「勘頼み」の改善になってしまいます。アクセス解析を行う理由は明確で、問題の特定から優先順位の決定、効果測定、そして継続改善のためのPDCAサイクル実現まで、すべての基盤となるからです。

「何となく」ではなく「データに基づいて」改善することで、確実に成果を出すことができます。感覚に頼った改善では、時間とコストを無駄にするリスクが高くなってしまいます。

Googleアナリティクス4(GA4)の設定状況確認

正しく計測できているかの基本チェック

まず最初に確認すべきは、GA4が正しく導入されているかどうかです。Google Analytics(analytics.google.com)にアクセスし、対象サイトのプロパティを選択して「リアルタイム」レポートを確認してください。自分でサイトにアクセスしてデータが反映されるかテストすることが重要です。

ここで注意すべきは、旧GA(ユニバーサルアナリティクス)が2023年7月に停止済みであることです。GA4への移行が完了しているか必ず確認し、計測タグが全ページに設置されているかチェックしてください。

基本設定の重要項目

データストリーム設定で正しいURLが設定されているか、測定IDがサイトに設置されているタグと一致しているかを確認します。また、拡張計測でページビュー、スクロール、ファイルダウンロード等が有効になっているか、自社IPアドレスの除外設定も忘れずにチェックしてください。

重要な基本レポートの活用方法

「レポート」から「リアルタイム」を選択すると、現在のアクセス状況とどのページが見られているかがわかります。「獲得」の「トラフィック獲得」では、検索、SNS、直接アクセス等の流入経路別データを確認できます。

「エンゲージメント」の「ページとスクリーン」では、どのページがよく見られているか、滞在時間などのユーザー行動を把握できます。これらのレポートを定期的に確認することで、サイトの健康状態を把握できます。

Google Search Consoleの導入・データ確認

検索エンジンからの評価を正しく把握する

Google Search Console(search.google.com/search-console)にアクセスし、プロパティが登録されているか、所有権確認が完了しているかをチェックします。XMLサイトマップの送信は必須で、URLプレフィックスでの登録を推奨します。

検索パフォーマンスの重要指標

検索パフォーマンス指標

「検索パフォーマンス」レポートでは、表示回数(検索結果に表示された回数)、クリック数(実際にクリックされた回数)、平均CTR(クリック率、2-3%が一般的)、平均掲載順位を確認できます。

これらの数値から、どのキーワードで検索されているか、検索結果での見え方に問題がないかを判断できます。特に表示回数に対してクリック数が少ない場合は、タイトルやメタディスクリプションの改善が必要かもしれません。

カバレッジとページエクスペリエンス

カバレッジレポート

「カバレッジ」レポートでは、ページが検索エンジンに正しく登録されているか、404エラー等の問題があるページはないかを確認します。「ページエクスペリエンス」レポートでは、Core Web Vitals(ページ速度等のユーザー体験指標)とモバイルユーザビリティ(スマホ対応状況)をチェックできます。

直近3ヶ月のデータ分析ポイント

アクセス数の正しい読み方

アクセス数例

GA4の「レポートのスナップショット」で、ユーザー数(サイトを訪問した人数、重複除く)、セッション数(訪問回数)、ページビュー数(見られたページ数)、平均セッション継続時間を確認します。

重要なのは単月の数値ではなく、月別の推移をグラフで確認することです。曜日・時間帯別の傾向を把握し、前年同期との比較で季節性も理解しておきましょう。

流入経路の分析で見えること

「獲得」の「トラフィック獲得」で、Organic Search(検索エンジンからの自然流入)、Direct(URLを直接入力・ブックマーク)、Referral(他サイトからのリンク)、Social(SNSからの流入)、Paid Search(広告からの流入)の割合を確認します。

どの経路からの訪問者が多いか、そしてどの経路からの訪問者がコンバージョンしやすいかを把握することで、今後の集客戦略を立てることができます。

ユーザー行動から問題を発見する

「エンゲージメント」の「ページとスクリーン」で、直帰率(1ページだけ見て離脱した割合)、平均エンゲージメント時間(ページに積極的に関わった時間)、離脱率(そのページで離脱した割合)を分析します。

人気ページと不人気ページを特定し、離脱の多いページの問題点を把握することで、優先的に改善すべき箇所が明確になります。ユーザーの行動パターンを理解することで、サイト構造の最適化にもつながります。

コンバージョン設定の確認と最適化

成果を正しく計測するために

コンバージョンとは、サイトの目的となる行動のことです。問い合わせフォーム送信完了、電話番号のタップ(スマホ)、資料ダウンロード、メルマガ登録、購入完了などが代表例です。

GA4でのコンバージョン設定方法

「設定」から「イベント」を選択し、「イベントを作成」をクリックして条件を設定します。例えば、問い合わせフォーム送信の場合は、page_locationに「thanks」を含む条件や、form_submitイベントを設定します。電話タップの場合は、clickイベントでリンクに「tel:」を含む条件を設定します。

設定後は「設定」の「イベント」でキーイベントとして登録することを忘れないでください。

コンバージョンデータの分析方法

「獲得」の「トラフィック獲得」で流入経路別のコンバージョン数・率を確認できます。コンバージョン率(CVR)は訪問者のうち何%がコンバージョンしたかを示し、流入経路別CVRでどの経路からの訪問者がコンバージョンしやすいか、ページ別CVRでどのページからコンバージョンが多いかがわかります。

よくある間違いと正しい分析のポイント

多くの人が犯しがちな間違いは、ページビュー数だけを見て判断することです。重要なのはユーザー数とコンバージョンです。また、期間が短すぎるデータで判断するのも危険で、最低でも3ヶ月間のデータで判断すべきです。

競合との比較をせずに自社のデータだけで判断するのも避けるべきです。業界平均との比較が重要で、設定を確認せずに分析しても、正しく計測できていないデータは無意味になってしまいます。

正しい分析のためには、複数指標を組み合わせて判断し、十分な期間のデータを使用することが大切です。定期的な設定確認を行い、仮説を立ててから分析に取り組むことで、より価値のある洞察を得ることができます。

データ分析から始まる改善サイクル

アクセス解析は「やって終わり」ではありません。継続的な分析、問題発見、改善実施、効果測定のサイクルを回すことで、確実にサイトの成果を向上させることができます。

今回の分析で見つかった問題点を基に、次は具体的な改善施策を検討しましょう。技術的な問題、コンテンツの問題、ユーザビリティの問題など、優先順位をつけて取り組むことが成功への鍵となります。

データに基づいた改善は、感覚に頼った改善よりもはるかに高い成果をもたらします。正しい分析方法を身につけて、あなたのサイトを「成果の出るサイト」に変えていきましょう。

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