モバイルファーストへのリニューアルが重要な理由 – デザイン改善で問い合わせ2倍の成功事例

モバイルファーストへのリニューアルが重要な理由 - デザイン改善で問い合わせ2倍の成功事例

執筆者:宮崎真一(SEO検定1級・ウェブ解析士)

戦略的ウェブ制作工房「エル・タジェール」代表。
デジタル庁デジタル推進委員
データ分析に基づくWordPress制作とウェブマーケティング支援を専門とし、これまで50社以上のホームページ制作・改善を手がける。「作って終わり」ではない、成果につながるサイト制作をモットーとしています。 詳しく見る

中小企業のホームページ担当者の方へ

「ホームページはあるけど、最近問い合わせが減っている…」

「パソコンではキレイに見えるのに、スマホだとなぜか見づらい…」

「リニューアルしたいけど、予算も人員も限られているし、何から手をつければいいの?」

このような悩みを抱えている中小企業や商店のホームページ担当者の方は少なくありません。実は多くの中小企業・商店では、ホームページのスマホ対応が不十分なために、毎月数十件もの問い合わせ機会を逃している可能性があります。

総務省の令和6年通信利用動向調査によると、インターネット利用者の72.9%がスマートフォンを利用しており、パソコンの47.4%を大きく上回っています。また、Explodingtopics.comのデータによると、2025年7月時点で「モバイルデバイスからのウェブサイトトラフィックは64.35%」となっています。

本記事では、限られた予算と人員の中でも実現できる「モバイルファーストデザイン」の具体的な手順と、実際に問い合わせ数を2倍に増やした中小企業の成功事例をご紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、明日から実践できるヒントを見つけてください。

1. モバイルファーストが中小企業の売上を左右する理由

スマホユーザーの購買行動

1-1. スマホユーザーの購買行動データ

最新の調査によると、地域の商品・サービスを探す際、消費者の78%がスマートフォンを利用しています。特に「近くの○○」といった検索の96%がモバイル端末から行われており、この傾向は今後も加速すると予測されています。

スマートフォンでのウェブサイト閲覧には、PCと大きく異なる特徴があります:

  • スマホユーザーの滞在時間はPC平均4分に対し約2分と短い
  • 縦にスクロールして情報を探す傾向がある
  • 「今すぐ解決したい」という明確な目的を持ったアクセスが多い

これらの特性を理解し、スマホユーザーが求める情報に素早くアクセスできるサイト設計が、問い合わせ増加の鍵となります。

1-2. Googleの「モバイルファーストインデックス」とは

「モバイルファーストインデックス」とは、Googleがウェブサイトを評価する際に、パソコン版ではなくスマートフォン版の内容を基準にする方針です。2023年には全ウェブサイトに対して標準適用され、2025年現在では検索エンジンの順位決定において絶対的な要素となっています。

つまり、あなたの会社のホームページがスマホで見づらければ、どれだけ良い商品やサービスを提供していても、検索結果の上位に表示されにくくなるのです。

Googleが重視しているのは、以下の要素です:

  • ページの表示速度(3秒以内が理想)
  • タップしやすいボタンサイズ(最低44×44ピクセル)
  • モバイルでの読みやすさ(適切なフォントサイズと行間)
  • スクロールしやすいコンテンツ構成

これらの要素に対応していないサイトは、検索順位の下落リスクがあるだけでなく、訪問者の「離脱率」も高くなりがちです。

1-3. 中小企業にとっての具体的なメリット

「うちは小さな会社だから、そこまで対応する必要はない」と考えていませんか?

実は、モバイルファースト対応は大企業よりも中小企業こそメリットが大きいのです。その理由は主に3つあります:

  1. 地域検索での優位性:「近くの○○」といった検索で上位表示されやすくなる
  2. 限られた広告予算の効率化:自然検索からの流入が増えることで広告コストを抑えられる
  3. 競合との差別化:同業他社がまだ対応していない今こそ、差をつけるチャンス

ある調査によると、中小企業のウェブサイトのうち、完全なモバイルファースト対応ができているのはわずか38%程度。つまり、今対応することで、62%の競合より一歩先に進むことができるのです。

2. 【事例紹介】モバイルファーストで問い合わせが2倍になった3つの実例

2-1. 地元工務店A社の事例(予算30万円)

地元工務店事例

課題
従来のパソコン向けサイトでは、スマホで見ると文字が小さすぎて読めない、写真が表示されないなどの問題があり、サイトを訪れても離脱するユーザーが多く、月間問い合わせ数は平均5件程度でした。

対応策

  • レスポンシブデザインを導入
  • 施工事例ページをカード型レイアウトに変更
  • スマホでもタップしやすいCTAボタンを設置
  • 「今すぐ相談」のフローティングボタンを追加

結果
リニューアルから3ヶ月で月間問い合わせ数が12件に増加。特に「リフォーム相談」に関する問い合わせが3倍になりました。リニューアル費用30万円に対し、追加問い合わせ1件あたりのコストは約3,600円。平均受注単価80万円×成約率15%=12万円/問い合わせとなり、投資回収期間はわずか3ヶ月で達成できました。

2-2. 町の美容室B店の事例(予算15万円)

課題
スマホ対応はされていたものの、予約ボタンが見つけにくい、メニュー・料金表がスマホで見にくいなどの問題があり、ネット予約率が低迷していました。

対応策

  • 予約ボタンを目立つ位置に固定表示
  • メニュー・料金表をタップで拡大できるカード形式に変更
  • スタイル写真のギャラリーをスワイプ操作に対応
  • 施術完了後のレビュー投稿を促進

結果
ネット予約数が1.8倍に増加し、SNSからの新規客も25%アップ。特に20〜30代女性からの予約が大幅に増加しました。リニューアル費用15万円に対し、月間追加予約15件、1予約あたりのコストは約830円。平均客単価8,000円×再来店率70%となり、長期的な売上増加に貢献しています。

2-3. 中小製造業C社の事例(予算50万円)

中小製造業事例

課題
BtoB企業のため「PCからのアクセスが主だろう」と考えていたが、実際にはモバイルアクセスが全体の55%を占めていました。しかしサイトはPC向けに最適化されており、スマホでは資料請求や問い合わせがしにくい状態でした。

対応策

  • サイト全体をモバイルファーストでリニューアル
  • 「製品カタログ」PDFのスマホ対応版を作成
  • 問い合わせフォームの入力項目を9つから5つに削減
  • チャットボットを導入して24時間自動対応

結果
資料請求・問い合わせ数が2.3倍に増加し、スマホからのコンバージョン率が8%から17%と大幅に改善。リニューアル費用50万円の投資に対し、月間の有効リード数が7件から16件に増加。平均商談成立率25%×平均受注額200万円により、新規売上1,000万円以上に貢献しています。

3. 今すぐできるモバイルファースト対応の5ステップ

3-1. 現状分析:自社サイトの「モバイルスコア」を診断する方法

まずは現状を把握することから始めましょう。現在、Googleが提供している診断ツールは以下になります。

① Google Search Console

https://search.google.com/search-console/about

  • Search Consoleの「モバイル使用性」レポートでは、サイト全体のモバイル対応の問題を確認できます
  • サイトをSearch Consoleに登録することで、継続的にモバイル対応の問題を監視できます

② Google PageSpeed Insights

https://pagespeed.web.dev

  • https://pagespeed.web.dev/ から利用可能
  • モバイル表示の速度スコアを確認でき、具体的な改善点も提案してくれます
  • モバイルとデスクトップの両方のパフォーマンスを測定し、80点以上を目指しましょう

③ Lighthouse(Chrome DevTools内蔵)

  • Chrome ブラウザで F12 キーを押してDevToolsを開き、Lighthouseタブを選択
  • より詳細なパフォーマンス分析が可能で、モバイル対応に関する問題点も指摘してくれます

最も確実なのは実際にスマートフォンでサイトを見て確認することです。文字は読みやすいサイズか、ボタンは指でタップしやすいか、すべての情報が表示されているか、ページの読み込みは3秒以内か、フォームは入力しやすいかをチェックしてみましょう。

3-2. スマホユーザーの行動パターンを理解する

スマホユーザーのサイト閲覧パターンは、PCユーザーとは大きく異なります。主な特徴として

  • F型パターンでスキャン読み:ページ上部とその下の見出しだけを確認する傾向がある
  • ファーストビューが重要:画面上部の内容で続きを読むか判断する
  • 指での操作が基本:タップ、スワイプ、ピンチなどの操作に最適化が必要
  • 集中力が持続しにくい環境:電車内や歩きながらなど、コンテキストスイッチが頻繁に起こる

これらの行動パターンを踏まえ、重要な情報や行動を促すボタンはページ上部に配置し、長文より短い文章で伝える工夫が必要です。また1ページあたりの情報量を適切に調整し、タップしやすいボタンサイズと間隔を確保することが重要です。

3-3. 実践!レスポンシブデザインの基本設定

レスポンシブデザインとは、閲覧するデバイスの画面サイズに合わせて最適なレイアウトに自動調整される設計のことです。WordPressなどのCMSを利用している場合は基本的な対応が比較的簡単です。

WordPressの場合

  1. モバイルレスポンシブ対応のテーマを選択
  2. メディア設定で「レスポンシブイメージ」を有効化
  3. カスタマイザーでモバイル表示を確認・調整

HTMLサイトの場合

  1. ビューポート設定を追加
  2. CSSにメディアクエリを追加
  3. 固定幅レイアウトを%やremなどの相対単位に変更

基本的なレスポンシブ対応ポイント

  • スマホでは文字サイズを16px以上に
  • ボタンサイズは縦横最低44pxを確保
  • タップエリア同士は最低10px以上の間隔を空ける
  • PCでの複数カラムをスマホでは1カラムに変更

3-4. 表示速度を改善する3つのテクニック

スマホユーザーは表示速度に敏感です。Googleの調査によると、読み込みが3秒を超えると53%のユーザーが離脱するとされています。表示速度向上のためには以下の3つのテクニックが有効です。

テクニック1:画像の最適化

  • 画像サイズを適切に圧縮
  • 大きな画像はWebP形式に変換
  • レスポンシブイメージの設定
  • 遅延読み込み(Lazy Load)の導入

テクニック2:JavaScript・CSSの最適化

  • 不要なプラグインや外部スクリプトを削除
  • JavaScriptを非同期で読み込む
  • CSSを最小化・結合
  • クリティカルCSSを優先表示

テクニック3:キャッシュと配信の最適化

  • ブラウザキャッシュを設定
  • GZip圧縮を有効に
  • CDNを活用してHTTPリクエスト数を削減

WordPressを使用している場合は、キャッシュプラグインを導入するだけでも大幅な速度改善が期待できます。

3-5. 問い合わせ導線を最適化する具体的方法

モバイルファースト対応で最も重要なのが「問い合わせ導線の最適化」です。スマホユーザーが迷わずアクションを起こせるよう工夫しましょう。

CTAボタンの最適化

  • 目立つ色とコントラストを使用
  • アクションを明確に示す文言(「無料相談する」「今すぐ予約」など)
  • 視認性の高い位置に配置
  • 固定表示のフローティングボタンの検討

フォームの最適化

  • 入力項目を最小限に抑える
  • スマホ向けの入力タイプを指定
  • 必須項目を明確に表示
  • エラー表示を分かりやすく工夫

その他の導線強化策

  • 電話番号はタップで発信できるように設定
  • LINEなどのメッセージアプリ連携
  • チャットボットで24時間初期対応
  • よくある質問(FAQ)セクションの充実

さらに「お問い合わせ後の流れ」を明示し、プライバシーポリシーを分かりやすく提示することで心理的ハードルを下げる工夫も大切です。

4. モバイルファーストリニューアルの費用相場と選び方

4-1. 予算別に見るリニューアル手法の選択肢

① 予算10万円未満の場合:テンプレート活用型

WordPressなどのCMSで、モバイルレスポンシブ対応のテンプレートを使用する方法です。低コストで基本的なスマホ対応が可能ですが、デザインの自由度は低めです。とにかく早くスマホ対応したい、予算が限られている方におすすめです。

  • 既存のWordPressサイトならモバイル対応テーマに変更
  • 新規なら、レスポンシブ対応のテンプレートを選択
  • 費用:5,000円〜2万円程度
  • 自分で設定・調整する時間:約1〜2週間

② 予算10〜30万円の場合:部分リニューアル型

トップページとよく閲覧されるページのみを、モバイルファーストで再設計する方法です。重要なページから効果を得られ、コストパフォーマンスが高いのがメリットですが、全ページの一貫性が取りにくいという課題があります。

  • アクセス解析で閲覧数の多いページを特定(通常はトップ、商品/サービス、お問い合わせの3ページ)
  • それらのページだけを優先的にリニューアル
  • 残りのページは基本的なレスポンシブ対応のみ実施

③ 予算30〜50万円の場合:全面リニューアル型

サイト全体をモバイルファーストで再設計する方法です。一貫したユーザー体験と長期的な効果が高いのがメリットですが、初期コストと時間がかかります。中長期的な投資として考えられる、一貫したブランディングを重視する方におすすめです。

  • 制作会社に依頼するケースが多い
  • デザインからコーディングまで一貫して対応
  • SEO施策やアクセス解析も含めた包括的な提案

④ 予算50万円以上の場合:戦略的リニューアル型

ユーザー調査やA/Bテストも含めた、データに基づく戦略的なリニューアルです。最大限の効果が期待でき、競合との差別化が図れますが、コストと時間がかかります。Webを主要な集客チャネルとしている、長期的な成長を目指す方に適しています。

4-2. 自社でできる部分と外注すべき部分

限られた予算で最大限の効果を得るには、自社でできる部分と外注すべき部分を見極めることが重要です。

自社で対応できる部分

  • コンテンツの作成・更新(文章、写真など)
  • 基本的なSEO対策(タイトル・メタ説明文の最適化など)
  • SNSとの連携・運用
  • 簡易な分析(Googleアナリティクスの基本的な活用)
  • テンプレート型サイトのカスタマイズ(WordPressなど)

外注した方がよい部分

  • サイト構造の設計・情報設計
  • モバイルファーストを考慮したUIデザイン
  • レスポンシブ対応のコーディング
  • 表示速度の最適化
  • セキュリティ対策
  • 複雑なフォームやカスタム機能の実装

中小企業や商店の場合、すべてを外注するのではなく、「デザイン・コーディングは外注、コンテンツ作成・更新は自社」といった役割分担が費用対効果の高い選択肢となることが多いです。

4-3. 制作会社選びで失敗しないためのチェックリスト

モバイルファーストリニューアルを依頼する制作会社選びは、成功の大きな鍵となります。選定の際は以下のポイントを確認しましょう。

モバイルファースト実績

  • 過去のモバイルファースト対応の実績が豊富か
  • モバイルファーストの重要性をきちんと理解しているか
  • 自社と同規模・同業種の制作実績があるか
  • 制作物のポートフォリオがスマホでも優れた使い勝手か

レスポンシブデザインの知見

  • レスポンシブデザインの技術的知見があるか
  • PageSpeed Insightsで高スコアを達成した実績があるか
  • SEO対策の知識・実績があるか
  • WordPressなどのCMS活用スキルがあるか

コミュニケーションスキル

  • 専門用語を分かりやすく説明してくれるか
  • こちらの要望や懸念をしっかり聞いてくれるか
  • 制作プロセスを明確に説明してくれるか
  • 納品後のサポート体制が整っているか

見積内容

  • 内訳が明確か
  • 追加料金が発生する条件が明示されているか
  • 保守・運用費用も含めて提示されているか
  • コストパフォーマンスは適切か(最安値が最良とは限らない)

複数の会社から相見積もりを取り、単に価格だけでなく上記のポイントを総合的に判断して選定することをおすすめします。

5. まとめ:明日から始めるモバイルファースト戦略

本記事でご紹介したように、モバイルファーストデザインは中小企業・商店のホームページにとって、もはや「あれば良い」というオプションではなく「必須」の要素となっています。

モバイルファースト対応で最も重要なのは

  • ユーザー視点を最優先に考える
  • 表示速度にこだわる
  • タップしやすさを重視する
  • 問い合わせ導線を最適化する
  • 段階的に改善していく

今すぐ始められるアクションプランとして

  1. 現状診断を行い、Google PageSpeed Insightsで自社サイトの状態を確認する
  2. 簡易対応として「フォントサイズの拡大」「ボタンの拡大」などから着手する
  3. 本格的なリニューアルを検討する場合は、モバイルファースト対応に強い制作会社に相談する

モバイルファーストへの対応は、一度やって終わりではなく、継続的な改善が必要です。ユーザーの声や行動データを分析しながら、少しずつ最適化していくことが、長期的な成果につながります。

「うちのサイトはどうすればいいの?」という疑問や、「もっと詳しく知りたい」というご要望があれば、ぜひお気軽にエル・タジェールにご相談ください。データ分析に基づいた戦略的なウェブサイト制作で、中小企業・商店のホームページ担当者の皆さまの成功をサポートいたします。

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