はじめに
「WordPressで会社のホームページを作りたいけれど、できれば無料で済ませたい」
そんな風にお考えになって、この記事にたどり着かれたのではないでしょうか。私は東京都葛飾区を拠点に、全国の中小企業様のホームページ制作をお手伝いしている「戦略的ウェブ制作工房 エル・タジェール」の宮崎と申します。
WordPress構築の専門家として、またウェブ解析士として、これまで数多くの中小企業様のホームページ制作に携わってまいりました。その中で、「無料テーマで始めたものの、思うような成果が出ない」というご相談を本当にたくさん受けてきました。
この記事では、無料のWordPressテーマをご検討中の皆様に、現実的で正直なアドバイスをお伝えしたいと思います。「無料だから悪い」というつもりはありませんが、知らずに選んで後悔することのないよう、プロの視点から本当に大切なことをお話しします。
まず結論:おすすめできる無料テーマ3選
お忙しい皆様のために、まず結論から申し上げます。私が中小企業様に自信を持っておすすめできる無料WordPressテーマは、以下の3つです。

Lightning(ライトニング)は、日本の会社が開発した企業向けテーマです。日本語での情報が豊富で、初心者の方でも比較的使いやすい設計になっています。ただし、本格的な機能を使うには有料版の購入が必要になることが多いです。

Emanon Free(エマノン・フリー)は、ビジネス向けに特化した無料テーマです。お客様からのお問い合わせを増やすための仕組みが最初から組み込まれており、中小企業のホームページには適しています。

Cocoon(コクーン)は、多機能で高性能な日本製の無料テーマです。元々はブログ向けに開発されましたが、企業サイトとしても十分活用できる機能を備えています。ホームページの成果を数字で確認しながら運用したい方に適しています。
これらのテーマはいずれも信頼できる開発元から提供されており、基本的な企業ホームページとしての機能は備えています。
無料テーマを選ぶ前に知っておくべき5つのこと
ただし、無料テーマを選ぶ前に、ぜひ知っておいていただきたい現実があります。これは皆様を脅すためではなく、後悔のない選択をしていただくためです。
①「無料」でも結局は時間という大きなコストがかかる
「無料だからお得」と思われるかもしれませんが、実際にはそう単純ではありません。私がお手伝いしたお客様の中で、「無料テーマで自分でやってみる」と始められた方の多くが、最終的に「思った以上に時間がかかって、本業に支障が出た」とおっしゃいます。
例えば、ある製造業の社長様は、「週末を使って3ヶ月かけてホームページを作ったが、結局お客様からの反応がほとんどない」という状況になってしまいました。時給換算すると、有料のテーマやプロに依頼する費用を大きく上回ってしまったのです。
無料テーマは確かにお金はかかりませんが、設定や調整に必要な時間を考えると、決して「無料」ではないということを覚えておいてください。
②検索で見つけてもらえるかどうかの差が売上に直結する
ウェブ解析士として多くのホームページを分析してきた経験から申し上げると、無料テーマと有料テーマの間には、検索エンジンでの見つかりやすさに明確な違いがあります。
これは「SEO対策」と呼ばれる分野ですが、簡単に言えば「Googleで検索したときに上位に表示されるかどうか」の違いです。私がこれまでにお手伝いした企業様の傾向として、有料テーマを使用されている場合の方が、検索エンジンからの流入が多くなる傾向があります。ただし、これはテーマの違いだけでなく、同時に実施したSEO対策や コンテンツの質なども影響している可能性があります。
実際に、ある美容院様では無料テーマから有料テーマに変更しただけで、ホームページからの新規予約が月3件から月15件に増加したというケースもあります。
③困ったときに頼れるサポートがない
無料テーマの最も大きな制限は、「何かトラブルが起きても、誰も助けてくれない」ということです。ホームページを運営していると、「更新したら表示が崩れた」「お問い合わせフォームが動かなくなった」といった問題が必ず起こります。
有料テーマであれば開発会社がサポートしてくれますが、無料テーマの場合は基本的に自分で解決するしかありません。インターネットで調べて解決できる問題もありますが、専門知識が必要な場合も多く、結局は専門家に有料で相談することになるケースがほとんどです。
④お客様に与える印象の差が信頼性に影響する
デザインの印象は、お客様の信頼度に大きく影響します。色彩検定の資格も持つ私の観点から言えば、無料テーマは「どこかで見たような」デザインになってしまうことが多く、他社との差別化が難しいのが実情です。
特に、同じ地域で同じ無料テーマを使っている競合他社があると、「どちらが本物?」という印象を与えてしまうこともあります。お客様は、ホームページのデザインや使いやすさから、その会社の信頼性を判断することが多いため、この点は軽視できません。
⑤ビジネスが成長したときの壁にぶつかる
最初は小さな規模でスタートしても、ビジネスが成長するにつれて「商品紹介のページを増やしたい」「お客様の声を掲載したい」「予約システムを導入したい」といった要望が出てきます。
無料テーマの多くは、こうした拡張に対応していません。結局、ビジネスの成長に合わせてホームページを作り直すことになり、最初からやり直しという状況になってしまいます。これは時間的にも金銭的にも大きな損失となります。
それでも無料テーマを選ぶなら気をつけるべきポイント
ここまで現実的なお話をしましたが、「それでも予算の関係で無料テーマで始めたい」という場合もあるでしょう。その場合は、以下の点にご注意ください。
まず、必ず「商用利用可能」と明記されているテーマを選んでください。無料テーマの中には、個人利用のみ許可されているものもあり、ビジネスで使用すると著作権の問題が生じる可能性があります。
次に、定期的にアップデートされているテーマを選ぶことが重要です。WordPressは頻繁に更新されるため、テーマも合わせてアップデートする必要があります。更新が止まっているテーマは、セキュリティの面でリスクが高くなります。
エル・タジェールからのご提案
これまでお読みいただいて、「やはり有料テーマの方が良いのかもしれない」とお感じになった方も多いのではないでしょうか。しかし、「いきなり有料テーマは不安」「まずは小さく始めたい」というお気持ちも十分理解できます。
そのような場合は、段階的なアプローチをおすすめします。
まず、今回ご紹介した無料テーマの中から一つを選んで基本的なホームページを作成し、3ヶ月程度運用してみてください。その間に、アクセス数やお問い合わせ数を記録しておきます。
3ヶ月後に数字を振り返って、「もっと成果を上げたい」と感じられたら、有料テーマへの移行を検討してみてください。その際は、これまでのデータがあることで、より効果的な改善策を立てることができます。
私たちエル・タジェールは、「作って終わり」ではなく、お客様のビジネス目標達成のためのパートナーとして伴走させていただいています。無料テーマでのスタートであっても、将来的な成長を見据えた相談も承っております。
また、「自分でやってみたけれど、やはり専門家に相談したい」という場合も、遠慮なくお声がけください。デジタル庁のデジタル推進委員としての公的な立場からも、中小企業様のデジタル化を積極的に支援させていただいております。
まとめ
WordPressの無料テーマは、確かに費用をかけずにホームページを始められる魅力的な選択肢です。しかし、「無料」という言葉に惑わされず、時間的なコストや将来的な制限についても十分に考慮することが大切です。
大切なのは、「なぜホームページを作るのか」という目的を明確にすることです。単に「会社の情報を載せておくため」であれば無料テーマでも十分かもしれません。しかし、「新規のお客様を獲得したい」「売上を向上させたい」という明確な目標があるのであれば、最初から有料テーマや専門家のサポートを検討することをおすすめします。
どのような選択をされる場合でも、お客様のビジネスが成功することを心から願っております。ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。