GTMのユーザー定義変数で、GA4の測定IDを設定する方法

ウェブサイトのデータ分析と改善において、Googleタグマネージャー(GTM)は強力なツールです。
その中でも「変数」は、タグ、トリガー、その他の変数の中で値を動的に活用するための重要な要素であり、GTMの機能を最大限に引き出す鍵となります。この記事では、GTMの2種類の変数(組み込み変数とユーザー定義変数)について詳細に解説し、特にGA4測定IDをユーザー定義変数として設定する手順とそのメリットについて深く掘り下げます。
さらに、データドリブンなウェブサイト改善を専門とする「WEB制作工房エル・タジェール」のサービスについても詳しくご紹介します。
GTMには変数が2種類あります
Googleタグマネージャー(GTM)では、組み込み変数とユーザー定義変数という2種類の変数が用意されています。これらは、タグ、トリガー、他の変数の中で値を動的に活用するために非常に重要な役割を担っています。
組み込み変数
まず、組み込み変数について説明します。これは、GTMによってあらかじめ用意されている変数であり、ウェブページやユーザーの行動に関する一般的な情報を取得できます。
たとえばこのような組み込み変数が用意されています。
- Page Variables(ページ変数):
- Page URL: 現在のページの完全なURLを取得します。例えば、https://www.example.com/page1 など。
- Page Path: 現在のページのパス(ドメイン名を除く)を取得します。例えば、/page1 など。
- Page Hostname: 現在のページのホスト名(ドメイン名)を取得します。例えば、www.example.com など。
- Page Protocol: 現在のページで使用されているプロトコル(httpまたはhttps)を取得します。
- User Engagement Variables(ユーザーエンゲージメント変数):
- Scroll Depth Threshold: ユーザーがスクロールしたページの下部からの割合(%)。
- Scroll Depth Units: スクロール深度の単位(pixelsまたはpercent)。
- Scroll Direction: スクロールの方向(verticalまたはhorizontal)。
- Error Variables(エラー変数):
- Error Message: JavaScriptエラーが発生した場合のエラーメッセージ。
- Error Line: エラーが発生したJavaScriptコードの行番号。
- Error URL: エラーが発生したJavaScriptファイルのURL。
- Clicks Variables(クリック変数):
- Click Element: ユーザーがクリックした要素(HTML要素)を取得します。
- Click Classes: クリックされた要素のクラス属性を取得します。
- Click ID: クリックされた要素のID属性を取得します。
- Click Target: クリックされたリンクのターゲット属性(_blankなど)を取得します。
- Click URL: ユーザーがクリックしたリンクのURLを取得します。
- Click Text: ユーザーがクリックしたリンクのテキストを取得します。
- Forms Variables(フォーム変数):
- Form Element: ユーザーが操作したフォーム要素(HTML要素)を取得します。
- Form Classes: 操作されたフォームのクラス属性を取得します。
- Form ID: 送信されたフォームのIDを取得します。
- Form Target: フォームの送信先URLのターゲット属性を取得します。
- Form URL: フォームの送信先URLを取得します。
- Form Text: フォーム内の送信ボタンなどのテキストを取得します。
- History Variables(履歴変数):
- New History Fragment: ブラウザの履歴が変更された際の新しいURLフラグメント(#以降の部分)。
- Old History Fragment: 履歴変更前のURLフラグメント。
- New History State: 履歴変更後の新しい履歴状態オブジェクト。
- Old History State: 履歴変更前の履歴状態オブジェクト。
- History Change Source: 履歴変更の発生源(pushState, replaceState, popstateなど)。
- Utilities Variables(ユーティリティ変数):
たくさんあります。
組み込み変数の大きなメリットは、特に設定を行う必要がなく、すぐに使用できる点です。また、GTMの管理画面上で有効化または無効化することで、使用したい組み込み変数を選択することが可能です。組み込み変数は、例えば特定のページURLに基づいてトリガーを動作させたり、特定のリファラーから訪問したユーザーに対して異なるタグを配信したり、クリックされた要素の情報をデータ分析に活用したりする際などに役立ちます。
組み込み変数の活用例としては、
- 特定のページURL(例:/thankyou)にアクセスしたユーザーをトリガーして、コンバージョンタグを発火させる。
- 特定のリファラー(例:google.com)から訪問したユーザーに対して、異なる広告タグを配信する。
- クリックされたリンクのURLをデータ分析ツールに送信し、ユーザーの行動を詳細に分析する。
などがあります。
ユーザー定義変数
次に、ユーザー定義変数について説明します。これは、ユーザーが独自のニーズに合わせて自由に作成できる変数です。組み込み変数では取得できないような、より詳細で特定の情報を取得したい場合に役立ちます。ユーザー定義変数は非常に柔軟性が高く、多様なデータポイントを取得できます。
- ナビゲーション:
- HTTP リファラー: ユーザーがサイトに訪れる直前に閲覧していたウェブページのURLを取得します。
- URL: ウェブサイトの現在のURL、またはその一部(ホスト名、パス、ポート、プロトコル、クエリ、フラグメントなど)をカスタマイズして取得します。
- ページ変数:
- 1st パーティ Cookie: ウェブサイトのドメインで設定された、指定した名前のファーストパーティCookieの値を取得します。
- カスタム JavaScript: カスタムのJavaScriptコードを実行し、その結果を返します。複雑なデータ処理や、他の変数と組み合わせた動的な値の生成に使用されます。
- データレイヤー変数: dataLayer.push() メソッドによってデータレイヤーに格納された値を取得します。ECサイトの商品情報や、ログインユーザーの属性情報など、重要なデータを取得するために使用されます。
- DOM 要素: 指定したDOM要素のテキストや属性値を取得します。例えば、特定のHTMLタグの内容や、画像のalt属性などを取得できます。
- JavaScript 変数: グローバルJavaScript変数の値を取得します。
- 要素の公開設定: 指定した要素が表示されているかどうかを判定します。スクロールトラッキングなどに使用されます。
- ページ要素:
- 自動イベント変数: クリックやフォーム送信などのイベントが発生した要素に関する情報を取得します。
- カスタムイベント: データレイヤーにプッシュされたカスタムイベントのデータを取得します。
- ユーティリティ:
- オートイベント変数: クリックやフォーム送信などのイベントが発生した要素に関する情報を取得します。
- カスタムイベント: データレイヤーにプッシュされたカスタムイベントのデータを取得します。
- その他:
- Google アナリティクス設定: Googleアナリティクスの設定情報を格納する変数です。複数のGAタグで共通の設定を使用する場合に便利です。
- 検索テーブル: 別の変数の値に基づいて、異なる値を返す変数です。例えば、URLに基づいてページカテゴリーを割り当てる場合などに使用されます。
- 定数: 常に一定の値を返す変数です。GA4の測定IDなど、複数のタグで使用する固定値を管理するのに役立ちます。
- 乱数: ランダムな数値を生成します。A/Bテストなどでユーザーをランダムにグループ分けする際などに使用されます。
活用例としては、データレイヤーから商品のIDを取得したり、ログインしているユーザーのIDを取得したり、ユーザーがページをどの程度スクロールしたかを測定したり、ユーザーが使用しているデバイスの種別(PC、スマホ、タブレットなど)を判定したりすることが可能です。ユーザー定義変数は、例えばECサイトで商品の詳細情報を取得して購入のトラッキングに利用したり、ユーザーの属性情報を取得してパーソナライズされたコンテンツを表示したり、ユーザーの行動データをより詳細に分析したりする際に活用できます。
このように、組み込み変数は基本的な情報を手軽に取得できる一方で、ユーザー定義変数はより詳細でカスタマイズされた情報を取得するために重要です。GTMを効果的に活用するためには、これらの変数を適切に選択し、組み合わせて使用することが重要となります。取得したい情報や実現したい目的に応じて、最適な変数を選び、設定しましょう。
Google Tag Manager (GTM)で、GA4の測定IDをユーザー定義変数として設定すると、GA4タグの管理が効率化され、複数のタグにわたる一貫した運用が可能になります。この設定により、将来的に測定IDを変更する場合でも、全タグに迅速かつ確実に反映できるため、タグ運用の利便性が向上します。以下の手順に沿って、GA4の測定IDをGTM内にユーザー定義変数として設定しましょう。
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GTMでGA4の測定IDをユーザー定義変数として設定する手順
1. Google Tag Managerアカウントにログイン
- まず、Google Tag Managerにログインし、対象となるGTMコンテナ(設定を行うプロジェクト)を開きます。コンテナは、各Webサイトやアプリごとに独立した設定を行うための領域であり、特定のサイトやアプリに関連するタグ、トリガー、変数などを管理できます。
2. ユーザー定義変数を新規作成
- GTMの左サイドメニューから「変数」を選択します。この画面では、GTMで使用するすべての変数を一覧で確認できます。
- 「ユーザー定義変数」のセクション内にある「新規」ボタンをクリックして、新しい変数の作成画面を開きます。

- ユーザー定義変数は、個別のニーズに合わせて作成した変数で、GA4の測定IDやトラッキングに必要なさまざまなデータを管理するために使われます。
3. 変数の設定
- 変数タイプとして「定数」を選択します。定数変数は、値が変わらない一定の情報を保持するために使用されます。GA4の測定IDのように、多くのタグで繰り返し使用する一定の値を管理するのに便利です。

- 「変数名」に、分かりやすい名前を付けます。例として、「GA4測定ID」や「GA4_Measurement_ID」など、測定IDの用途が一目でわかる名前を付けると良いでしょう。
- 「値」の欄に、Google Analytics 4(GA4)の測定ID(Measurement ID)を入力します。測定IDはGA4プロパティの設定画面で確認でき、通常は「G-XXXXXXXXXX」の形式です。この測定IDを変数として設定することで、GA4関連のすべてのタグで一貫したIDを利用することができます。

4. 変数の保存
- 設定が完了したら、右上の「保存」ボタンをクリックします。この操作で、ユーザー定義変数としてGA4の測定IDが保存され、GTM内で使用できるようになります。
5. タグにユーザー定義変数を適用
- 次に、GA4に関連するタグ(例:GA4の設定タグやイベントトラッキングタグ)を作成、または既存のタグを編集します。これらのタグ設定内には、GA4の測定IDを指定する欄があります。この測定ID欄で、直接IDを入力する代わりに、先ほど作成したユーザー定義変数を指定します。こうすることで、タグの管理が簡単になり、測定IDの変更が必要な場合も変数を一度編集するだけで全ての関連タグに反映されるようになります。

6. プレビューで動作確認し、公開
- 設定が完了したら、GTMの「プレビュー」モードを使用して動作確認を行います。プレビューモードでは、公開前にタグが正しく動作するかを確認できるため、測定IDがGA4のプロパティに適切に送信されているかをチェックしましょう。
- 問題がなければ、GTMの画面右上にある「送信」ボタンをクリックし、「バージョン作成」を行って変更を公開します。これで、GA4の測定IDがGTMのユーザー定義変数として設定され、サイト上でのGA4タグの管理が完了しました。
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GA4の測定IDをユーザー定義変数で設定するメリット
この方法でGA4の測定IDをユーザー定義変数として設定することで、以下のメリットが得られます。
- メンテナンスが容易 GA4の測定IDを変更する際、各タグを個別に編集する手間がなく、変数のみを修正すれば全てのGA4タグに変更が反映されます。これにより、測定IDの管理や更新が簡素化され、ミスのリスクが減ります。
- 一貫性の向上 複数のタグで同一の測定IDを使用するため、一貫性のあるデータ収集が可能になります。特に、大規模なプロジェクトでGA4を導入している場合、タグ設定の整合性を保つことが容易になります。
- タグ運用の効率化 GTMの変数機能を活用することで、GTMの構成管理が効率化されます。ユーザー定義変数は他のタグやトリガーとも共有可能で、将来のタグ追加や変更の際にも役立ちます。
以上が、GTMでGA4の測定IDをユーザー定義変数として設定する手順と、そのメリットです。
これにより、GA4の測定IDの一元管理が実現し、GA4のタグ設定がさらにスムーズかつ効率的に行えるようになります。
御社のサイトの計測と改善はエル・タジェールにお任せください
Googleタグマネージャー(GTM)とGoogle Analytics 4(GA4)を駆使したウェブサイトの計測と改善は、専門知識と経験を必要とする複雑なプロセスです。特に、GTMのユーザー定義変数を活用した効率的なタグ管理は、高度な専門知識が求められます。
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