先に結論
- 名刺交換した会社さまのサイトを、同じ3つの基準で一社ずつ診断しています。今週で累計32社になりました
- 一番多かった課題は「強みがないこと」ではありませんでした。すでに持っている強みが、見られない場所に置かれている——これが32社中16社、ちょうど半数です
- この16社に共通していたのは、新しく作らなければならないものが、1つもなかったこと。素材はすべて、そのサイトの中にすでにありました
- 一方で「3秒で何屋か伝わるか」に届かなかったのは32社中20社(62%)。この割合は10社時点・27社時点からほとんど動いていません
「うちには、これといった強みがなくて」
サイト診断のあと、そうおっしゃる方がとても多いんです。でも32社を同じ基準で見てきて、私はこの言葉をそのまま受け取らなくなりました。
強みは、たいてい、ちゃんとありました。 ページの4画面目に。お知らせ欄の日付の下に。白い文字で背景に溶けた見出しの中に。
今日は、その32社分の集計をお見せします。
そもそも、何をどう診ているのか
すべてのサイトを、同じ3つの問いだけで見ています。私の好みや感想が入らないよう、問いは最初に決めて固定してあります。
- 伝わり度 — 最初の画面で「何屋さんで・誰の・何を解決するか」が3秒で伝わるか
- 選ばれる理由 — 競合と違う”らしさ”が、言葉になっているか
- 次の一歩 — 訪問者が迷わず行動できる案内になっているか
各項目を◎(できている)/○(惜しい)/△(届いていない)の3段階で判定します。3秒、という基準を含めて、同じ問いを32社に当てています。だから、あなたがご自身のサイトで同じことを試せます。
32社の集計は、どうなったか
「次の一歩」がいちばん良く、「伝わり度」がいちばん厳しい。この順番は母数が3倍になっても変わりませんでした。
| 軸 | ◎ | ○ | △(届いていない) |
|---|---|---|---|
| 伝わり度 | 4社 | 8社 | 20社(62%) |
| 選ばれる理由 | 1社 | 13社 | 18社(56%) |
| 次の一歩 | 1社 | 19社 | 12社(38%) |
「伝わり度△」の割合は、10社の時点で6/10(60%)、27社の時点で16/27(59%)、そして32社で20/32(62%)。母数が3倍になっても、ほぼ動いていません。 たまたまではなく、そういう傾向がある、ということだと考えています。
そして、課題を種類で分けると、こうなりました。
| 課題の型 | 社数 |
|---|---|
| A:持っている強みが、束ねられていない | 16社 |
| B:そもそも一言で言えていない | 5社 |
| C:案内・導線の構造でつまずいている | 10社 |
| D:その他 | 1社 |
Aがちょうど半数です。 そしてAの16社は、全員が「素材をすでに持っていた」会社でした。
「置き場所が違う」とは、具体的にどんな状態か
新しく書くものはなく、すでにサイトの中にあるものが、見られない位置にある。この一点です。
社名は伏せますが、実際に見た形を挙げます。どれも、あなたのサイトでも起こりうる形です。
- 誰もが知る取引先の名前が並んでいるのに、その一覧が出てくるのは4画面目より下。 最初の画面には言葉が一つもなく、写真だけ
- 「活用事例」という見出しの中に、事例が1件も入っていない。 本物の事例は、お知らせ欄に日付順で埋もれていた
- 「デザイン力に定評があります」と書いてあるのに、その定評を語る第三者の声が0件。 主張はあるのに、証言がない
- 業種を言い切った完璧な一文が、白い文字で背景に溶けていた。 検索エンジンには見えて、人間には見えない状態
- 検索結果に出るページの見出しが「ホーム」の二文字。 中の説明文は完璧なのに、入口だけが初期設定のまま
- 長年その業界に絞ってやってきたという一番の武器が、抽象的なキャッチコピーの裏、メニューの奥にある
共通しているのは、どれも「作る」話ではないということです。奥にあるものを、前に出す。白い文字を、読める色にする。空欄に、すでにある一行を入れる。それだけで直ります。
なぜ、一番いいものが奥に置かれてしまうのか
謙虚さの副作用だと、私は考えています。自慢に見えることを、最初に置きたくない。だから後ろに回す。
「うちの取引先は、こういう会社です」
「賞をいただきました」
「お客様から、こう言われました」
これらを最初の画面に置くのは、手前味噌に見えて、気が引ける。だから「まずは理念から」「まずは想いから」となり、証拠は下のほうへ下がっていきます。
私はこの順番を、間違いだとは思いません。むしろ、いい仕事をしてきた人ほどそうなります。 本物の技術を持っている人ほど、自分を売り込むことに後ろめたさを感じる。だから腕と知名度が、皮肉なことに反比例していく。32社を見て、この傾向は本当にあると感じました。
ただ、初めて訪れた人は、その事情を知りません。3秒で判断して、いなくなります。 謙虚さが伝わる前に、画面が閉じられてしまう。
あなたの仕事は本物です。伝わる”形”に、まだなっていないだけです。
では、何から直せばいいのか
「新しく作るもの」を探さないこと。まず、すでに持っているものを探してください。
順番はこうです。
- 棚卸しする。 取引先、実績、お客様の声、資格、受賞歴、続けてきた年数、断ってきた仕事の基準。すでにサイトのどこかにあるものを、全部書き出す
- 何画面目にあるか数える。 スマホでトップページを開いて、指でスクロールしながら「何回スワイプで出てくるか」を数えます。3回以上なら、多くの人は見ていません
- 一番強い1つを、最初の画面に上げる。 全部を上げる必要はありません。1つだけでいい
- 数字で確かめる。 上げたあと、問い合わせや滞在時間がどう動いたかを見る。感覚ではなく、数字で
3番まではご自身でできます。4番だけは道具(アクセス解析)が要りますが、そこも含めて、まずは1〜2番から試してみてください。
よくある質問
あります。32社のうち5社は「そもそも一言で言えていない(B型)」で、こちらは素材から作る必要がありました。ただ、私が見た範囲では**Aのほうが3倍多い**です。「ない」と感じる前に、まず棚卸しをおすすめするのはそのためです。
並べ方の問題だと思います。「30社に選ばれました!」と煽るのではなく、取引先のロゴを静かに置く、お客様の言葉をそのまま一つ載せる。**事実をそのまま置くだけなら、押し売りにはなりません。** 誇張しないことと、隠すことは違います。
ご家族や、業界の外にいる知人に、スマホでトップページを3秒だけ見せて閉じてもらってください。そのあと「うち、何の仕事だと思った?」と聞きます。答えが自分の想定とずれていたら、それが答えです。**自分では絶対に判断できません。** 中身を知っているからです。
十分とは言えません。ただ、10社・27社・32社と母数を増やしても割合がほとんど動いていないことは、そこそこ意味のある兆候だと考えています。**今後、50社・100社の時点で改めて集計し、数字がどう動いたかも正直にお伝えします。** 動かなければ動かないと、変わったら変わったと書きます。
最後に
32社を診断して、一番強く感じたのは「もったいない」でした。
足りないものを探して回っていた方が、実はもう持っていた。 置く場所を変えるだけで、明日には伝わるようになるものを、奥にしまったまま「うちには強みがなくて」とおっしゃる。
そのつつましさは、いい仕事をしてきた証拠だと思います。でも、初めて訪れた人には伝わりません。
もしご自身で棚卸しをしてみて、「どれを一番上に置けばいいのか分からない」となったら、30分だけお時間をください。一緒に画面を見ながら、あなたのサイトにすでにある強みのうち、どれを最初に見せるべきかをお話しします。売り込みはしません。
ご相談は完全無料・オンライン(平日 8:00〜16:00)
→ https://shinichi-miyazaki.website/30min-free/
*宮崎真一(ブランドマネージャー・ウェブ解析士)*
*良いものなのに選ばれない、を変えていく。*
