先に結論
サイト37社を1社ずつ診断し、そのうちHTMLの中身まで記録が残っている24社を数え直しました。ページの主題を名乗る見出し(H1)が「1つだけ・人間に見える大きさで・何屋かを言っている」状態だったのは、24社中3社。残りの21社は、空欄か、社名だけか、英語のスローガンか、複数併存でした。うち3社は、正しい一行を持ちながら10px前後の文字や最下部に置いていました。書けていないのではなく、置き場所が違うだけです。
そもそも「一番大きな見出し」とは何のことですか
HTMLでいう「H1」です。そのページが何のページかを1行で宣言するための、決まった置き場所のことです。
ホームページは、人間が見る「画面」と、機械が読む「設計図」の二重構造でできています。設計図の側には見出しの順位が決まっていて、H1が最上位。その下にH2、H3と続きます。
H1は、文字を大きくするための指定ではありません。「このページの主題はこれです」と宣言する枠です。だから、画面上ではいちばん目立っているのに、設計図の上ではただの飾り文字になっている——ということが普通に起こります。
そして今は、この一行を読むのが検索エンジンだけではなくなりました。AIに「〇〇に強い会社を教えて」と聞いたとき、AIもまず、そのページが何のページかを判断します。その材料の一つが、この一行です。
24社中21社は、そこに何が書かれていたのですか
21社の内訳は5つに分かれました。多い順に、空欄8社、複数併存5社、業種の言葉なし3社、見えない場所3社、社名だけ2社です。
- 空欄・不在(8社)——H1のタグはあるのに中身が空、あるいはページに1つもない。ファーストビューが全面画像やスライダーで、文字が1つも載っていないケースが目立ちました。
- 複数併存(5社)——H1が2〜5個ある。ロゴとサイト名の両方がH1になっていたり、キャッチコピーの各行を全部H1にしていたり。主題が1つに絞られていません。
- 業種の言葉なし(3社)——英語のスローガンや情緒的なコピーがH1。読めば格好いいのですが、何屋かは書いていない。
- 見えない場所(3社)——次の節で詳しく書きます。
- 社名だけ(2社)——「株式会社◯◯」だけ。社名を知っている人には十分ですが、知らない人には情報がゼロです。
念のため書いておくと、これは「診断した37社のうち、私がHTMLの中身まで記録に残した24社」の集計です。初期に診断した分は画面の印象を中心に見ていたためH1の記録がなく、母数はそこまでです。
参考までに、37社全体で見た「3秒で何屋か伝わるか」(伝わり度)が△だった会社は23社/37社=62.2%。10社時点で60.0%、27社で59.3%、32社で62.5%、そして37社で62.2%。母数が3.7倍になっても、割合はほとんど動きません。
書けないから空欄なのですか
いいえ。ほぼ全社が、同じ内容をどこかにきちんと書いています。
空欄だった会社のtitleタグを見ると、業種と価値がきれいに書かれていることが何度もありました。検索結果には業種と得意分野がはっきり出るのに、サイトを開いた人には一行も書いていない会社がありました。別の会社では、業種名の入った唯一の一行が、トップページの最下部に14pxで置かれていました。
つまり、言葉は持っています。持っている言葉を、一番上の枠に入れていないだけです。
これは前回書いた「32社中16社は、強みを持っていないのではなく置き場所が違うだけだった」の、最小単位版だと思っています。強みの置き場所どころか、自分の名乗りの置き場所が空いている。
正しい一行を持っているのに、見えなくしていた3社がありました
3社は、H1に文句のつけようがない一行を書いていました。ただ、人間には読めない大きさ・場所に置いていました。
1社は、何をする会社かを言い切った明快な一行を、白い文字・10pxで、白い背景の上、ページの最上部1pxの位置に置いていました。検索エンジンには見えて、人間には見えない。古い制作手法の名残です。
1社は、H1が3つありました。1つ目は「誰に向けた会社か」を言い切った一行で、10px。2つ目は「免責事項」、3つ目は「プライバシーポリシー」で、どちらも32px。自分が何者かを説明する一行が10px、守りの文章が32pxです。しかもこの会社は、料金を全項目公開し、自分の取り分が減る条件まで正直に書いていました。他人に対しては、これ以上ないほど誠実なのです。
もう1社は、業種名の入った唯一のH1が14px、ページの一番下。上のほうには、大きな風景写真が流れていました。
この3社を、私は「手抜き」だと思いませんでした。むしろ逆です。
なぜ「自分を名乗る」だけが抜け落ちるのでしょうか
自分を大きく名乗ることに、後ろめたさがあるからだと思います。手を抜いたのではなく、遠慮した結果です。
サービスの説明は丁寧に書けます。料金も、断る基準も書けます。他人に向けた説明は、いくらでも書けるのです。ところが「私は◯◯の専門家です」と一番大きな文字で書く、そこだけで手が止まる。
腕のいい人ほど、これが起きます。「いい仕事をしていれば、いつか分かってもらえる」と思ってきた人にとって、自分を大きく名乗るのは売り込みに見えてしまう。だから小さくする。下に置く。あるいは、書かないままにする。
結果として、腕と知名度が反比例します。私はそれを、37社分の記録として見てきました。
そして、ここは強調しておきたいところです。伝わっていないのは、仕事の中身の問題ではありません。伝わる「形」にしていないだけです。この2つは、まったく別の話です。
自分のサイトで確かめる方法はありますか
3分で終わります。特別なツールは要りません。
- パソコンでトップページを開き、`Ctrl+U`(Macは`⌘+option+U`)でソースを表示します
- `Ctrl+F` で `<h1` を検索します
- 見るのは3つ。いくつあるか/中身が空でないか/その文章に「何屋か」が入っているか
H1が0個か2個以上なら、まず1個に整えるところから。中身が社名だけなら、業種と対象を足すところから。すでに良い一行があるのに小さいなら、大きくするだけで終わります。
24社中21社が該当した項目です。当てはまっても、珍しいことではありません。
この一行を直すと、何が変わるのですか
正直に書きます。現時点で、この修正だけで問い合わせが増えたという数字を、私は持っていません。
分かっているのは、この一行が「人間の第一印象」「検索エンジンの主題判定」「AIの引用判断」の3つすべての入口になっているということ。そして37社の記録では、ここが空いている会社が圧倒的に多いということです。
数字が出たら、また書きます。盛らずに書きます。
もし「うちのH1はどうなっているんだろう」と気になったら、30分だけ一緒に見ませんか。画面を共有して、ソースを開いて、その場で確かめます。売り込みはしません。
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よくある質問
下がると断定できるデータを、私は持っていません。Googleの担当者も過去に「複数でも問題ない」と説明しています。ただ、順位とは別に「読んだ人が主題を1つに絞れない」という実害はあります。今回はSEOの話ではなく、名乗りの話として書いています。
画像で見せる意図があるなら、それは尊重されるべきだと思います。今回の24社にも、デザインを本業とするからこそ演出を選んでいると判断した会社があり、そこは批評していません。H1の設定は画面上の見せ方とは別に決められるので、両立は可能です。
サイトを実際にブラウザで開き、3つの軸で見ます。①3秒で何屋か伝わるか(伝わり度)②競合と違う「らしさ」が言葉になっているか(選ばれる理由)③迷わず行動できるか(次の一歩)。加えてHTMLの中身を確認し、最重要課題を1つだけ選びます。基準を公開しているので、同じ手順で追試できます。
社名は出しません。業種・地域・規模を揃えて書かないようにもしています。今後も実名の事例は書きません。読んで嫌な気持ちになる人を作らないことのほうが、事例の説得力より大事だと思っています。——### 本記事の集計(H1)母数=**37社のうち、備考にHTML/H1の実機確認記録が残っている24社**(初期診断分は画面印象中心でH1記録がないため除外)判定基準(3条件すべて満たす=○):1. H1が1つに絞られている2. 人間の目に見える大きさ・位置にある3. 「何屋か(誰に何を提供するか)」が文章に入っている| 区分 | 社数 ||—|—|| **3条件を満たす** | **3** || 空欄・不在(タグが空/0個) | 8 || 複数併存(2〜5個) | 5 || 業種の言葉なし(英語スローガン・情緒コピー) | 3 || 見えない大きさ・場所(白10px/10px+免責32px/14px最下部) | 3 || 社名のみ | 2 || **合計** | **24** |
