つくば市のワンストップ窓口で相談員を務めています、戦略的ウェブ制作工房エル・タジェールの宮崎です。
今回は2件のご相談を承りました。ウェブサイトの作り直しに取り組まれている方と、パソコンの操作でお困りの方。一見まったく別の相談ですが、終わってみると「本当に解決すべき課題はどこにあるのか」を一緒に見つけにいく、という点で共通していました。
なお、以下は相談者が特定されないよう、業種・時期・状況などを差し支えのない範囲でぼかして記載しています。窓口でのご相談内容そのものを外部に開示することはありませんので、安心してご利用ください。
1件目:一人で技術サービスを提供されている方のウェブサイト
以前お伝えしたこと ── 「趣味」と「仕事」を分ける
この方とお会いするのは、これが初めてではありませんでした。
以前サイトを拝見したとき目に入ったのは、仕事とは無関係な趣味の発信と、お仕事の情報が同じサイトの中に混在している状態でした。
内容そのものは、どれも人柄が伝わる良いものです。けれど、そのサービスを頼みたくて検索してきた人の立場に立つと話が変わります。ここは仕事を頼める場所なのか個人のブログなのか判断できず、料金や対応範囲といった依頼前に知りたい情報にもたどり着けない。書き手の情報量が多いことと、読み手の意思決定が進むことは、まったく別だということです。
そこで以前は、仕事のためだけのサイトを作りましょうとお伝えしました。趣味の発信をやめる必要はなく、それは別の場所に置けばいい。仕事のサイトは、仕事の依頼を受けるという一つの目的に絞り込む。この分離が最初の一歩でした。
今回 ── サイトは作り直されていた。次の課題は「構成」
そして今回。サイトはきちんと作り直されていました。
アドバイスを受けて実際に手を動かしてくださる方は、決して多くありません。まずここを素直にすごいと思いました。仕事の情報に絞られ、以前の課題は解消されています。
ただ、拝見して率直に感じたのは、全体として訴求力が弱いということでした。
必要な情報は載っている。でも、読み進めても「この人に頼もう」という気持ちが立ち上がってこない。原因は文章の巧拙ではなく、サイト全体の構成 ── どの情報を、どの順番で出すかにありました。
ページを開いた人の頭の中には、無意識のうちに「ここは何をしてくれる場所か → 自分の困りごとに当てはまるか → この人に任せて大丈夫か → いくらで、どう頼むのか」という順番があります。情報が揃っていても、この順番と噛み合っていなければ読み手は途中で離脱する。逆に言えば、素材を増やさなくても、並べ替えるだけで伝わり方は変わるということです。
そこで今回は「もう一度、サイト全体の構成から考え直しましょう」とご提案し、抽象論で終わらせないために、どんなセクションを、どういう順番で並べるのかを一つひとつ具体的に説明しました。
- 冒頭で「誰の、どんな困りごとを、どう解決する人なのか」を一文で言い切る
- 訪問者が感じている悩みを、専門家の言葉ではなく依頼する側の言葉で受け止める
- 提供しているサービスの中身を、専門用語に頼らず可視化する
- 実績・お客様の声・経歴で、信頼の根拠を示す
- 料金と対応範囲、所要時間の目安を明示する
- 問い合わせまでの流れを示し、最後に迷わせない
ホームページ制作でつまずく方の多くは、デザインや文章の細部から入ってしまいます。けれど順序としては、構成が先、装飾は後。骨格が決まっていない状態でいくら装飾を足しても、伝わる力は上がりません。
きっと次にお会いするまでには、構成をきれいに整理して、また作り直されているだろうと思っています。その日を楽しみにしています。
2件目:「パソコンの使い方」の相談 ── ヒアリングで見えた本当の目的
2件目は、ノートパソコンの使い方についてのご相談でした。
正直に書くと、最初は少し不安がありました。私自身が普段使っている環境とは違う機種で、操作方法をどこまでお答えできるだろうか、と。
そこで、いつも通り「何のために、それをしたいのか」をお聞きするところから始めました。すると本当の目的が見えてきます。補助金の申請に向けて、資料を作成したい。パソコンはあくまで道具であって、相談の本体は「資料をどう作るか」でした。
こうなれば話はシンプルです。特定の端末やソフトの操作を覚えることが解決策ではありません。そこで、Googleドライブを使い、Googleドキュメントで資料を作成する方法をご提案しました。
- ブラウザで完結するため、機種やOSが違っても操作がほぼ変わらない
- 追加のソフト購入が不要で、自動保存されるためデータ消失のリスクも小さい
- PDF書き出しに対応しており、申請書類の提出形式に合わせやすい
- 共有・受け渡しが容易で、他者に確認してもらうときもスムーズ
こうして、その場で無事に解決しました。
相談者が口にした言葉が、そのまま解決すべき課題であるとは限らない。「パソコンの使い方」という入口の言葉をそのまま受け取って操作説明に終始していたら、この方の目的には届かなかったはずです。
これはウェブ制作の現場でも同じで、「ホームページを新しくしたい」というご依頼の奥には、たいてい別の目的があります。そこを聞き出せるかどうかで、提案の質が変わります。
2件の相談から見えたこと
まったく違う2件でしたが、共通していたのは目に見えている問題の、一つ手前に本当の課題があるということでした。サイトの見栄えではなく情報の並び順が、パソコンの操作ではなく資料の作り方が、それぞれ本丸だったわけです。
どちらも、手を動かす前に「何のために」を確認したことで進むべき方向が定まりました。ウェブ解析士として日々向き合っているのも、結局はこの「本当の課題を特定する」という一点です。
そして1件目のように、同じ方と繰り返しお会いできるのはワンストップ窓口のありがたいところです。一度アドバイスして終わりではなく、実際に手を動かした結果を見て次の一手を一緒に考えられる。この積み重ねが、事業者さんのサイトを着実に前へ進めていきます。
よくある質問
公開しません。当ブログで事例をご紹介する場合も、業種・時期・状況などをぼかし、相談者が特定されない形に加工したうえで掲載しています。
デザインや文章表現ではなく、情報を出す順番から見直してください。「ここは何をしてくれる場所か → 自分の困りごとに当てはまるか → この人に任せて大丈夫か → いくらで、どう頼むのか」という読み手の思考の順番に、セクションを並べ替えるのが最初の一手です。
問題ありません。今回の2件目のように、お話を伺ううちに本当の課題が見えてくることは珍しくありません。「パソコンの使い方」といった入口の言葉からご相談いただいて構いません。
つくば市ワンストップ窓口をご利用の方へ
つくば市のワンストップ窓口では、ホームページやITに関するご相談を承っています。「何を相談していいか分からない」状態でも問題ありません。今回の2件目のように、話しているうちに本当の課題が見えてくることも珍しくないからです。
より踏み込んだ支援が必要な場合は、エル・タジェールとしてもWordPressサイトの制作からウェブ解析、データにもとづく改善提案まで一貫してお手伝いしています。作って終わりではなく、成果が出るまで伴走することを大切にしています。
