電話番号は書いてあるのに、押せない ── 60社を診て見つけた、連絡の入口の6つの確認

連絡の入口の6つの確認

先に結論

私がこれまでに診てきた60社のうち、最重要課題が「連絡の入口」だった会社は18社ありました。全体の3割です。さらに、「選ばれる理由は伝わっている」と判定できた会社のうち16社が、この最後の一歩で止まっていました。足りないのは魅力ではありません。動きたくなった人が、そのまま動ける形になっていないだけです。この記事では、その入口を6つの点から確かめます。どれも今日、スマホ1台で確認できます。

確認1:連絡先は、そもそも画面に出ているか?

スクロールし切っても電話番号もフォームも一度も現れないサイトが、実際にありました。

外壁改修を手がける会社のトップページを最後まで見て、電話番号が1つも出てこないことに気づいたときは、私も二度見しました。工事の相談は「まず電話で聞きたい」が一番多い入口のはずです。別の1社は、サイト全体を通して問い合わせの導線が存在しませんでした。名刺を渡された人がURLを打ち込んでも、そこから先へ進む道がない状態です。

これは「隠している」のではありません。作った人も持ち主も、毎日そのサイトを見ているので、無いことに気づけないだけです。自分の家の玄関がどこかを、住人は確認しません。

まずスマホで自社のトップページを開き、上から下まで指で送ってください。連絡先が一度も出てこなければ、ここが最優先です。

確認2:その番号は、指で押せる形になっているか?

番号が文字として置いてあるだけで、タップしても電話アプリが立ち上がらないサイトが7社ありました。

パソコンで作ったサイトによくある形です。パソコンでは番号は「読むもの」なので、文字として置けば用は足ります。ところがスマホでは、番号は「押すもの」です。押せない番号を前にした人は、番号を長押しして選択し、コピーして、電話アプリを開いて、貼り付ける。この4手を踏んでくれる人がどれだけいるでしょうか。

技術的には、番号を電話リンク(tel: リンク)にするだけです。1か所につき数分で終わります。私が実機で構造まで確認できた会社の中で7社がこの状態でしたから、珍しい話ではありません。

確認3:番号の書き方は、機械が読める形か?

ハイフンのつもりで長音記号「ー」が使われている番号を見つけました。

兵庫県の会社のサイトで、電話番号の区切りが「-」ではなく「ー」になっていました。人間の目には同じに見えます。でもスマホやブラウザは、この番号を電話番号として認識しません。自動でリンクにしてくれる機能も働きません。

同じ種類の食い違いは、全角と半角の混在、カッコの種類違いなど、いくつもあります。見た目が正しいことと、機械が読めることは別物です。ここは「デザインの問題」ではなく「配線の問題」だと考えると、直す優先順位を決めやすくなります。

確認4:一番軽い入口は、用意されているか?

問い合わせフォーム一択、というサイトが少なくありません。

あるITコンサルティング会社は、「LINEで無料診断」という、とてもハードルの低い入口を持っていました。ところが本文の中の導線はすべてフォームで、そのLINEは画面の右下に浮かぶバナーからしか行けませんでした。せっかくの軽い入口が、本文の中では一度も案内されていなかったのです。

フォームは、相手にとって重い入口です。会社名・氏名・メールアドレス・電話番号・相談内容。この5つを埋めるということは、「私はあなたに時間を使わせます」と宣言することでもあります。まだ迷っている人には重すぎます。

「ちょっと聞くだけ」ができる入口を1つ足す。電話でも、LINEでも、資料の請求でもかまいません。重い入口の手前に、軽い入口を置くという発想です。

確認5:その入口は、読み終わる前に現れるか?

本文の中に案内が1つもなく、ヘッダーのボタンだけ、という会社が3社ありました。

もう1社は、LINEへの案内が全7.8画面のうち7画面目にありました。9割方読み終わったところで、ようやく出てくる計算です。人が「相談してみようかな」と思う瞬間は、実績を読んだ直後だったり、代表の言葉を読んだ直後だったりします。その気持ちが動いた場所に入口が無ければ、気持ちは元に戻ります。

サイトを上から順に読み、自分が「ここでちょっと聞いてみたくなるな」と感じた箇所を書き出してみてください。その隣に入口があるかどうか。それだけの確認です。

確認6:入口が多すぎて、選べなくなっていないか?

足すだけが答えではありません。

あるサービス業の会社では、予約と問い合わせの導線が複数系統に分かれていて、どれを押せばいいのかが読み手に判断させられる状態でした。この会社への私の提案は、増やすことではなく「一本に統一し、電話も前面に出す」でした。

入口が3つ以上並ぶと、人は選ぶことに小さな負荷を感じます。「予約する」「相談する」「見積もりを依頼する」が横並びなら、自分がどれに該当するのか考えなければなりません。考えさせた分だけ、離脱は増えます。主となる入口を1つ決め、他はその補助として置く。順位をつけるだけで通りは良くなります。

なぜ、腕のいい人ほどこの6つを後回しにするのか?

連絡の入口は「売り込み」の匂いがする場所だからです。

私がお会いしてきた専門家の方は、ほとんどが自分を売り込むことに後ろめたさを感じています。技術で認められてきた人ほど、その傾向は強いように思います。だから、施術の説明や事例には何時間もかけられるのに、「お問い合わせはこちら」を目立たせることには手が動かない。押し付けがましく見えるのが嫌なのです。

けれども、ここまでの6つは、どれも売り込みではありません。番号を押せるようにする。区切り記号を直す。軽い入口を1つ足す。案内を読み手の気持ちが動く場所に置く。入口の順位をつける。やっているのは、来てくれた人が困らないようにする段取りです。施術室で「靴はこちらにどうぞ」と声をかけるのと、性質は変わりません。

そしてこの6つは、新しい文章をほとんど必要としません。書くものが増えないという点で、後回しにしてきた理由の大半は、実は当てはまらないのです。

まとめ:今日できる小さな一歩

スマホで自社のトップページを開いて、上から下まで一度だけ指で送ってください。確かめるのは1つです。「連絡先は現れたか。現れたなら、それは押せたか」。

押せたなら、次は確認4へ進んでください。押せなかったなら、そこが今日の一手です。制作会社に頼むなら「電話番号を tel: リンクにしてください」と伝えるだけで通じます。60社を診てきて、この一手が一番、費用と手間に対して返りが大きいと感じています。

サイトで無料相談を受け付けています。