先に結論
71社のサイトを、3秒で伝わるか/選ばれる理由が書いてあるか/次の一歩が示されているか、の3つで見てきました。3つとも○以上、つまり外から見て大きな問題がなかったのは22社です。その22社にも直しどころは1つずつあり、内訳は「証拠が1か所に集まっていない」14社、「問い合わせまでの導線」8社、「一言で言えていない」0社でした。71社全体でも最多は「証拠が1か所に集まっていない」で41社。足りないのは新しい言葉ではなく、すでにある証拠の置き場所でした。
「証拠が1か所に集まっていない」とは、どんな状態か?
受賞歴・取引先・営業年数・お客様の声といった第三者からの評価が、サイトの中の別々の場所に分かれて置かれている状態です。
私は診断のとき、その会社の一番の武器を1つだけ名指しして台帳に書き込みます。71社ぶん読み返すと、こういう記録が並びます。創業77年とグッドデザイン賞とメディア掲載が、それぞれ違うページにある。取引先38社が、会社概要ページの一番下にだけ置かれている。臨床導入800施設が、沿革ページの年表の1行にだけ存在している。書籍3冊が、お知らせの時系列リストの中に流れている。
どれも、証拠そのものは存在しています。ただ、初めて来た人が一度の視線で受け取れる場所には、まとまっていません。
外から見て大きな問題がなかった22社に、何が残っていたか?
22社のうち14社が「証拠が1か所に集まっていない」、8社が問い合わせまでの導線でした。「一言で言えていない」は0社です。
3軸すべて○以上ということは、開いて3秒で何の会社か分かり、選ばれる理由も書いてあり、次に何をすればいいかも示されている、ということです。それでも最重要課題は残ります。そして残っていたのは、この2種類だけでした。
ある程度まで整っているサイトに残っている宿題は、言葉づくりではありませんでした。すでに書いてある言葉と、すでに手にしている証拠を、どこに置き直すか。そちらでした。
3秒で伝わるサイトなら、この課題は出ないのか?
出ます。伝わり度◎の8社中5社、○の29社中17社、△の34社中19社が、同じ課題でした。
割合にすると63%、59%、56%です。ほとんど変わりません。「3秒で何の会社か伝わるか」と「証拠が1か所に集まっているか」は、別々に動いている、ということになります。片方を直しても、もう片方は連動しません。
ここは私自身、数えるまで思い違いをしていました。伝わりやすいサイトは証拠の置き方も上手いはずだ、と考えていたからです。71社ぶん並べてみて、その前提のほうが違っていました。
41社のうち、証拠そのものが見当たらなかったのは何社か?
41社の記録を読み返すと、32社では固有名詞か数字を書き込めています。名指しできなかったのは9社でした。
固有名詞か数字を書けたということは、探せば見つかったということです。受賞名、取引先の社名、導入施設数、創業年。それが台帳に残っています。本当に何も無ければ、私は「一番の武器」の欄を埋められません。
残る9社は「実績が1件も見当たらない」「事例が一つも入っていない」としか書けませんでした。この9社は、たしかにまず作るところからです。ただ、41社のうちの9社です。多くの場合、材料はもう揃っていました。
なぜ、証拠は集まらずに分かれていくのか?
証拠は一度に手に入らず、何年もかけて1つずつ増えるからです。
賞を取ったのが3年前、大きな取引が決まったのが去年、お客様の声をもらったのが先月。手に入ったとき、そのとき空いていた場所に足していく。受賞はお知らせ欄、取引先は会社概要、声は事例ページ。1つずつの判断は、どれも間違っていません。
ただ、初めて来た人は、その会社を年表として読んではくれません。トップページを上から下へ一度通るだけです。5年分の証拠が5か所に分かれていれば、その人が受け取るのは、そのうちの1つになります。
私はこれを人のサイトで指摘できるようになるまで、自分のサイトで同じことをしていました。制作の仕事を始めてから10年以上、納品して「きれいですね」と言われることを評価だと思っていた時期があります。ウェブ解析を学び直したのは、作ったものが機能しているかを自分の言葉ではなく数字で確かめるためでした。証拠の置き場所も同じで、良し悪しは感覚ではなく、何画面目にあるかで測れます。
集めるとしたら、どこに置けばいいか?
トップページの、最初の画面を1回下に送ったあたりです。
最初の画面には、何の会社かを言い切る一文と、その下に来る短い説明が入ります。証拠はその次に置きます。何屋さんかが分かった直後に、それが本当らしいと思える材料が来る、という順番です。
置き方でひとつだけ気をつけるとすれば、細かく分けないことです。受賞・取引先・営業年数・件数をそれぞれ別の帯に分けると、また分かれます。1つの帯にまとめて、多くて4〜5個。全部を載せる必要はありません。載せ切れないぶんは、その帯から1回押した先のページに置きます。
順番と個数だけの話なので、原稿を新しく書き起こす必要はありません。今あるものを移動するだけで終わることが多いです。
御社の証拠が今どこに分かれているかを一度に見たいときは、30分の無料診断で画面を共有しながらご一緒に洗い出します。
まとめ:今日できる小さな一歩
御社のサイトでも、同じことをその場で確かめられます。
① 御社が受け取ってきた第三者からの評価を、思いつくまま5つ書き出してみてください。受賞、取引先、掲載、営業年数、件数、資格、なんでも構いません。
② その5つが、サイトのどのページのどこにあるか、1つずつ場所を書き添えてください。
③ 5つのうち、トップページを開いて1回下に送るまでに見えるものは、いくつありますか。
①で5つ書き出せたなら、その時点で「載せるものが無い」ではありません。手元にはもう揃っている、ということになります。書き出せたのが1つか2つだった場合は、41社のうちの9社と同じ状態かもしれません。そのときは置き場所より先に、材料を集めるほうが先になります。
②で書き添えた場所が5つともバラバラだったなら、初めて来た人が受け取っているのは、そのうちのどれか1つだけかもしれません。分かれているのは中身の問題ではなく、置き場所の問題です。
③が0か1だったなら、直す順番として、新しく書くより先に集めるほうが早い可能性があります。書き足す作業には時間がかかりますが、動かす作業は今日のうちに終わります。
御社が積み上げてきたものは、もう十分な量なのだと思います。ただ、それが一度に目に入る場所に、まだ置かれていないだけかもしれません。
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