先に結論(この記事の要点)
- 名刺交換をした会社のサイトを84社診断しました。前週から6社増えています
- 私が「いいなぁ」と思って賛辞の手紙を書いた会社は43社。そのうち17社は、最初の画面では何屋か分からない会社でした
- 手紙を書いた会社と書かなかった会社の差は、3つの軸で均等ではありません。「選ばれる理由」で41.9ポイント、「伝わり度」で21.5ポイント、「次の一歩」では1.7ポイントしか違いませんでした
- 私は最初の3秒ではなく、奥に書かれた言葉を読んで「いいなぁ」と決めていたようです
私は名刺交換した会社の、何を数えているのか?
サイトを1社ずつ開き、3つの軸で◎○△をつけ、台帳に1行ずつ書きためています。今日で84社ぶんです。
3つの軸はこうです。
- 伝わり度:最初の画面で「何屋さんで・誰の・何を解決するか」が3秒で伝わるか
- 選ばれる理由:他と違う「らしさ」が言葉になっているか
- 次の一歩:迷わず問い合わせられる設計になっているか
判定基準は私の診断手順に書いてあるので、同じ基準で誰でも数え直せます。この連載の値打ちは、私の意見ではなく追試できることにあると思っています。
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84社の内訳はこうなりました。
| 軸 | ◎ | ○ | △ |
|---|---|---|---|
| 伝わり度 | 8社(9.5%) | 34社(40.5%) | 42社(50.0%) |
| 選ばれる理由 | 5社(6.0%) | 54社(64.3%) | 25社(29.8%) |
| 次の一歩 | 1社(1.2%) | 53社(63.1%) | 30社(35.7%) |
台帳にはもう1列あります。「レーン」です。診断だけをした会社か、それとも私が「いいなぁ」と思って、売り込みも改善提案も入れない賛辞の手紙を書いた会社かを分けています。後者を「両方」と書いています。
84社の内訳は、診断だけが41社、両方が43社でした。
手紙を書いた43社は、最初の3秒で伝わっていたのか?
17社は伝わっていませんでした。43社の4割です。
先週の記事で、私はこう書きました。「私が『いいなぁ』と思えたということは、すでに言葉になっていたということです」。今週、その一文を自分で数え直しました。
手紙を書いた43社の伝わり度は、◎が3社、○が23社、△が17社です。17社は、最初の画面を3秒見ても何屋か分からない状態でした。それでも私は手紙を書いています。
さらに絞ります。この17社のうち14社は、「選ばれる理由」が○以上でした。つまり43社中14社(32.6%)は、らしさは言葉になっているのに、最初の画面には出ていない会社です。
私は先週「すでに言葉になっていた」と書きましたが、正確ではありませんでした。言葉にはなっていました。ただし、初めて来た人が最初に見る場所ではないところに書いてありました。
私は3軸のうち、どれを見て手紙を書く相手を選んでいたのか?
「選ばれる理由」です。差の出方が、3軸で大きく違いました。
△の割合を、レーンごとに並べます。
| 軸(△の割合) | 診断だけ41社 | 両方43社 | 差 |
|---|---|---|---|
| 選ばれる理由 | 51.2%(21社) | 9.3%(4社) | 41.9pt |
| 伝わり度 | 61.0%(25社) | 39.5%(17社) | 21.5pt |
| 次の一歩 | 36.6%(15社) | 34.9%(15社) | 1.7pt |
「選ばれる理由」の差が、「伝わり度」の約2倍あります。そして「次の一歩」は、ほとんど同じです。
手紙を書くかどうかを分けていたのは、最初の3秒でも、問い合わせのしやすさでもありませんでした。その会社にしか書けない一文が、どこかにあるかどうかでした。
もうひとつ付け加えます。「次の一歩」で◎がついたのは84社中1社だけで、その1社は診断だけのレーンです。私が「いいなぁ」と思った43社の中に、次の一歩が◎の会社は1社もありません。問い合わせのしやすさは、私が手紙を書くかどうかを決めるときに、見ていなかったようです。
手紙を書いた相手に、私が甘い点をつけただけではないのか?
その可能性は自分で疑いました。ただ、それだけでは説明がつきません。
好きになった相手に甘くつける、という説明はありえます。だとすれば、3つの軸がそろって甘くなるはずです。ある会社を良いと思った気持ちが、伝わり度だけを持ち上げて次の一歩には及ばない、という都合のいい効き方はしません。
実際には、41.9ポイント・21.5ポイント・1.7ポイントと、はっきり偏っています。とくに「次の一歩」の1.7ポイントは、誤差と呼んでいい大きさです。全体に甘くなっていたなら、ここも一緒に動いていたはずです。
時期の偏りで説明できないのか?
時期をそろえても、同じ形が残りました。ただし片方の母数は9社しかありません。
手紙を書くようになったのは7月29日からです。それより前は全社が「診断だけ」なので、レーンの差がそのまま時期の差になっている恐れがあります。7月29日以降の52社だけで、もう一度比べました。
| 軸(△の割合) | 診断だけ9社 | 両方43社 | 差 |
|---|---|---|---|
| 選ばれる理由 | 33.3%(3社) | 9.3%(4社) | 24.0pt |
| 伝わり度 | 55.6%(5社) | 39.5%(17社) | 16.1pt |
| 次の一歩 | 33.3%(3社) | 34.9%(15社) | −1.6pt |
順番は変わりません。選ばれる理由がいちばん大きく、伝わり度が続き、次の一歩は逆転してほぼゼロです。
ただし診断だけの側は9社です。1社動けば11ポイント揺れます。ここから「差の大きさ」を主張することはできません。主張できるのは、3軸の順番が入れ替わらなかったこと、それだけです。
それでも、否定しきれない可能性は何か?
手紙を書くと決めた時点を、私は台帳に記録していません。だから、3軸をつけるのと手紙を書くと決めるのと、どちらが先だったかを確かめられません。
正直に書きます。私は診断の3軸をつけたあとに手紙を書くかどうかを決めているのか、サイトを読んだ最初の印象で決めてから3軸をつけているのか、台帳では区別していません。
もし後者なら、今回の数字は「らしさが書けている会社を私が選んだ」という発見です。もし前者なら、「選ばれる理由に○をつけた会社に手紙を書いた」ということになります。
どちらなのかは、いまの記録では分かりません。分からないものを分かったように書くつもりはないので、ここは保留します。今日から台帳に、判断の順序を書く列を足します。
結論の書き方も直しておきます。「らしさが書けている会社は良い会社だ」ではありません。「私は、らしさの言葉だけを見て手紙を書く相手を選んでいたらしい。ただし、その順序を自分で記録していなかった」です。責任は、測っている私の側にあります。
御社の「らしさ」は、いま、どこに置かれているのか?
書けているかどうかと、最初の画面にあるかどうかは、別の話です。
今回いちばん申し上げたいのはここです。私が手紙を書きたくなった43社のうち14社は、らしさが言葉になっているのに、最初の画面では何屋か分かりませんでした。3割です。
言葉が無いのではありません。置かれている場所が、初めて来た人の目の前ではないだけです。
私が診た会社では、こういう場所に入っていることがよくありました。
- 会社概要や沿革のページ
- 代表あいさつの後半
- ブログ記事の1本
- 採用ページの「求める人物像」
- 見積書の但し書き
どれも、書いた本人にとっては「わざわざトップに出すほどではないこと」です。断る基準、続けてきた年数、やらない仕事の説明。売り文句のつもりで書いていないから、奥に置かれます。
新しく書くものは、たぶんありません。移す作業だけで足りることが、私の記録では多かったです。
よくある質問
いいえ。名刺交換をした会社のサイトを、私が順に診断しています。無作為ではありません。先週の記事では、その偏りが途中で変化していたことを扱いました。母集団の性質を書き添えないまま「N社中M社が」と書くのは不誠実だと考えているので、以後も条件を明記します。
いいえ。売り込みも改善提案も入れない、賛辞だけの手紙です。返事を期待していませんし、そのあと営業もしていません。「いいなぁ」と思った会社に、何がいいと思ったかを言葉にして送るだけの取り組みです。今回の記事では、これを「私の好意」という主観の記録として集計に使いました。
その会社にしか書けない具体的な記述があるかどうかです。断る仕事の基準、取引先の名前、続けてきた年数、資格や認定、実際にやった仕事の中身。「丁寧」「高品質」「お客様第一」のように、他社が同じ文言を書ける表現は数えていません。
分かりにくいです。書いた本人は全部の文脈を知っているので、どこが他所に無い記述かを判定できません。社外の方にトップページを見せて「うちの会社の何が他と違うと思いましたか」と聞くのが、いちばん早い確認方法です。無料の30分相談でも、その場で一緒に探しています。
台帳への追記順と診断日順が完全には一致していないため、過去の記事の値と1ポイントほどずれる箇所があります。突き合わせる方は、この差を見込んでください。今回の集計は、2026年9月10日時点の台帳を並べ直して計算したものです。
まとめ:今日できる小さな一歩
今日の話は、御社のサイトのどこに何が書いてあるか、という置き場所の話です。手を動かす前に、3つだけ確かめられます。
① 御社のサイトで「これは他所には書けない」と言える一文を、1つ思い浮かべてください。それは、トップページを開いて最初に見える画面の中にありますか?
② その一文は、いつ書いたものですか。サイトを作ったときですか、それともあとから足したものですか?
③ 御社が「これで問い合わせが増えた」と思っている出来事について、決めた日と、数字が動いた日を、いま両方言えますか?
①ですぐに一文が浮かんだ方は、材料をお持ちです。それが最初の画面に無かったとしても、書き足す作業ではなく、移す作業で済むかもしれません。私が手紙を書いた43社のうち14社が、まさにその状態でした。一文が浮かばなかった場合も、無いという意味ではないと思います。自分の仕事について「ここが他所と違う」と決めるのは、他人のサイトを見るより難しい作業です。
②で「あとから足した」と答えた方は、その一文が奥に置かれている可能性が高いと思います。あとから足したものは、たいてい下の階層に入ります。作ったときからある文章ほど上に、あとから気づいたことほど下に。書いた順番が、そのまま画面の順番になっていることがあります。
③で「片方しか言えない」と答えた方は、私と同じ状態です。私も今日、手紙を書くと決めた日を記録していなかったことに気づきました。数字が動いた事実は残っていても、何を先にしたかが残っていないと、効いたのか、たまたまなのかを自分で確かめられません。記録を足すのは、今日からでも間に合います。
御社の言葉は、たぶん、もう書いてあります。読まれる場所に置かれていないだけかもしれません。
