,

71社のサイトを診て、「次の一歩」に最高評価がついたのは1社だけだった

先に結論(この記事の要点)

  • 71社のサイトを3軸(伝わり度/選ばれる理由/次の一歩)で診断してきました。今回は初めて、△(直しどころ)ではなく◎(最高評価)の数を数えました。
  • ◎の数は、伝わり度8社・選ばれる理由3社・次の一歩1社。次の一歩だけ、突き抜けた会社がほとんどいません。
  • ところが○以上の割合で見ると、次の一歩は63.4%で3軸中2番目。平均は悪くないのに、上限だけが極端に低いという形になっていました。
  • ◎を1つでも持つ8社は、全員が伝わり度◎からの出発です。伝わり度が◎でないのに他の軸で◎だった会社は、71社中0社でした。

なぜ今回は「△の数」ではなく「◎の数」を数えたのか?

これまで9本、私はずっと△の数を数えてきました。それは、サイトの下側しか見ていなかったということでもあります。

△は「直しどころ」なので、書きやすいのです。何社中何社が3秒で伝わらなかったか。何社が自分の名前を書いていなかったか。数えれば必ず何かが出てくるし、読む人も「うちもかもしれない」と思いやすい。

ただ、それを9回続けたところで気づきました。私は一度も、上側を数えていません。71社まで来て、ようやく◎の数が意味を持つ母数になりました。今週はそちらを数えます。

なお3軸の判定基準は、私が使っている診断の手順書に文章で書いてあります。伝わり度は「開いて3秒で、何屋さんで・誰の・何を解決するかが分かるか」。選ばれる理由は「競合と違う”らしさ”が言葉になっているか」。次の一歩は「訪問者が迷わず行動できる導線になっているか」。同じ基準で71社を通しました。

71社で、◎はいくつついたのか?

伝わり度が8社(11.3%)、選ばれる理由が3社(4.2%)、次の一歩が1社(1.4%)です。

○以上
伝わり度8社(11.3%)37社(52.1%)34社(47.9%)
選ばれる理由3社(4.2%)50社(70.4%)21社(29.6%)
次の一歩1社(1.4%)45社(63.4%)26社(36.6%)

ここでいちばん申し上げたいのは、真ん中の列です。

○以上の割合で見ると、次の一歩は63.4%。3軸の中で2番目に良く、伝わり度(52.1%)より11.3ポイント上です。つまり「問い合わせ導線がまるでダメな会社ばかり」ではありません。電話番号もフォームも、たいていのサイトにはあります。

にもかかわらず、◎は1社。伝わり度は◎が8社出ているのに、です。

平均点は悪くないのに、上限だけが低い。 71社を並べて初めて見えたのは、この形でした。

なぜ「次の一歩」だけ、突き抜けた会社が出ないのか?

前の2軸は「自分について語ること」で、3つ目だけが「相手に動いてもらうこと」だからだと考えています。

伝わり度も、選ばれる理由も、書く内容は自分の仕事の話です。何をやっているか。何が得意か。手間はかかりますが、材料は全部、自分の中にあります。

次の一歩だけ違います。ここで書くのは「だから、あなたはこうしてください」という一文です。相手の時間をもらう依頼であり、断られる可能性のあるお願いでもあります。

私が診断していて何度も見たのは、こういう状態でした。会社の説明は丁寧に、長く書いてある。実績も、こだわりも、ちゃんと置いてある。そしてページの一番下に、フッターの中に、電話番号とメールアドレスがある。用意はしてあるのです。ただ、「今こうしてください」とは書いていない。

腕のいい人ほど、自分を売り込むことに後ろめたさを感じます。「いい仕事をしていれば、いつか分かってもらえる」と信じたいからです。その気持ちのまま作ると、説明は書けて、依頼だけが書けないサイトになります。これは怠慢ではなく、むしろ誠実さの副作用だと思っています。

◎を持つ8社に、共通していたことは何か?

8社すべてが、伝わり度で◎です。伝わり度が◎でないのに他の軸で◎だった会社は、71社中0社でした。

内訳はこうなります。3軸の並びを(伝わり度/選ばれる理由/次の一歩)で書くと、(◎/◎/○)が3社、(◎/○/○)が3社、(◎/○/◎)が1社、(◎/△/○)が1社。

選ばれる理由が◎だった3社も、全員が伝わり度◎です。次の一歩が◎だった1社も、伝わり度◎です。

これは、順番があるということだと読んでいます。何屋さんかが3秒で分かる状態が先にあって、そのうえで初めて「選ばれる理由」や「次の一歩」が最高評価まで届く。逆の順路——導線から先に整えて他が◎になる——は、71社の中に1件もありませんでした。

母数が71社なので断定はしません。ただ、8社が8社とも同じ入口だったことは、事実として書いておきます。

これは、評価している私の癖ではないのか?

その可能性は残ります。だから今回は、先に自分を疑ってから書きました。

◎をつけているのは私1人です。私が「次の一歩」の◎に厳しい基準を置いているだけなら、この数字は相手の状態ではなく、私の癖を測っているだけになります。

ひとつ目の確認。もし私が全般に◎を出し渋っているなら、3軸とも同じくらい少ないはずです。実際は8社・3社・1社と偏っています。出し渋りという説明では、軸ごとの偏りは出ません。

ふたつ目の確認。私は診断した会社のうち、心から「いいなぁ」と思った34社には、売り込みを一切入れない手紙を別に書いています。その34社と、そうでない37社に分けても、次の一歩の◎は前者に0社・後者に1社。私が良いと感じたかどうかでも説明できませんでした。

それでも残る可能性があります。私が「次の一歩」の◎の基準だけを、他の2軸より高く置いている——これは自分では確かめようがありません。ですからこの記事の結論は「次の一歩は難しい軸だ」ではなく、「私はこの軸で、71社中1社にしか◎を出せていない」と書きます。責任は測っている側にあります。

◎がついた1社は、何が違ったのか?

特別なことはしていませんでした。1種類の入口を、ページを下るあいだに何度も繰り返し置いていただけです。

社名も業種も伏せますが、構造だけ書きます。その会社のトップページには、次にすべきことが1つしか書いてありません。選択肢を並べていないのです。そしてその1つが、スクロールしていく途中で、位置を変えて何度も現れます。

もう1点。その入口は、契約でも見積依頼でもありませんでした。まず話を聞くだけで終わる、相手にとって断りやすいものでした。

そして念のために書いておくと、この会社にも私は最重要課題を1つ指摘しています。見出しの構造に直しどころがありました。3軸のうち2つが◎でも、宿題はゼロにはなりません。

やったことは、入口を1つに絞り、繰り返し、ハードルを下げた。この3つだけです。新しい原稿は要りません。

「腕はいいのに伝わらない」と感じている人にとって、この数字は何を意味するのか?

まだ誰も取っていない場所がある、ということだと思います。

伝わり度で◎を取っている会社は8社あります。この軸は、すでに上手な人がいます。ファーストビューの一言を練り込んでいる会社は、確実に存在します。

次の一歩は1社です。ほとんどの会社が、平均点のところで止まっています。ここは、空いています。

しかも、この軸を良くするのに新しい材料は要りません。撮影も要らず、原稿の書き下ろしも要りません。入口を1つに決めて、繰り返し、相手が断りやすい形にする。順番と個数の話です。

私自身、制作の仕事で長く「きれいですね」と言われることを評価だと思っていた時期があります。作ったものが機能しているかを数字で確かめるようになったのは、そのあとです。導線の良し悪しも、感覚ではなく、いくつ置いたか・何回出てくるかで測れます。

明日、何を確かめればよいのか?

自分のサイトのトップページを、スマホで開いて、一番下まで指で送ってみてください。確かめるのは3つだけです。

  1. 次にすべきことが、いくつ書いてありますか。 電話・フォーム・LINE・資料請求・SNS——4つも5つも並んでいたら、それは選択肢ではなく、判断の丸投げになっています。
  2. その1つは、何回出てきましたか。 一番下のフッターに1回だけなら、そこまで読んだ人にしか届いていません。
  3. その入口は、断りやすいですか。「お問い合わせ」より「まず15分だけ話を聞く」のほうが、押す側の負担は軽くなります。

3つとも、原稿を書き直さずに手が入ります。今週できる範囲の話です。

この3つをご自分のサイトで確かめる時間が取れないときは、30分の無料診断で画面を共有しながらご一緒に見ます。

よくある質問

「次の一歩」の◎が1社しかないのは、母数が少ないからではありませんか?

その可能性は残ります。ただ同じ71社の中で、伝わり度には◎が8社出ています。同じ母数・同じ評価者で軸ごとに8対1の差が出ているので、母数の少なさだけでは説明が付きにくい、というのが今回の書き方です。母数が100社を超えた時点で、もう一度同じ集計をします。

3軸の判定は主観ではないのですか?

判定しているのは私1人なので、主観が入ります。だから記事本文でも「私はこの軸で1社にしか◎を出せていない」という書き方に留めました。判定基準そのものは診断の手順書に文章で書いてあり、毎回同じものを当てています。追試していただける形にはしてあります。

問い合わせ先を複数用意するのは、親切ではないのですか?

親切のつもりで増えていることが多い、というのが71社を見た実感です。ただし「選択肢が多いと迷う」ことと「選択肢を減らせば増える」ことは別で、後者は御社のデータを見ないと言えません。まずは主たる入口を1つ決めて、他はその下に置く、という順番からをおすすめしています。

うちのサイトが3軸でどう出るか、知る方法はありますか?

同じ手順で無料の簡易診断をしています。この記事の71社と同じ基準で、伝わり度・選ばれる理由・次の一歩の3つと、最重要課題を1つだけお伝えするものです。そのあと30分の無料相談で、御社の数字を一緒に見る形にしています。

導線を直せば、問い合わせは増えますか?

増えるかどうかは、直す前と後の数字を測らないと分かりません。ここを断言する人は信用しないでください。私が申し上げられるのは、71社のうち70社が上限に届いていない軸なので、確かめる価値のある場所だ、というところまでです。