63社を3つの物差しで測ったら、6割は2つ以上できていた

63社を3つの物差しで測ったら6割は3つのうち2つ以上できていた

先に結論

名刺交換をした会社のサイトを63社、同じ3つの物差しで測りました。3つとも合格だったのが15社、引っかかったのが1つだけだったのが25社。合わせて40社、全体の63.5%は、3つのうち2つ以上できていました。3つとも引っかかったのは9社です。

そして、3つとも合格だった15社にも、私はそれぞれ別に課題を1つずつ挙げています。つまり40社は、直すところが無いのでも、たくさんあるのでもなく、どこか1か所で止まっている状態でした。

そもそも私は、サイトの何を3つに分けて見ているのか?

「3秒で何屋か分かるか」「他と違う理由が書いてあるか」「次に何をすればいいか分かるか」の3つです。

私は名刺交換をした会社のサイトを、毎日3件ずつ、同じ順番で見ています。最初に開いた画面だけを見て、次に会社紹介やサービス紹介を辿り、最後に問い合わせまでの道を確かめる。この流れで、次の3点を◎・○・△の3段階で記録しています。

最初の3秒 ── 開いた瞬間の画面で、何屋さんで、誰の、どんな困りごとを解決する会社かが分かるか。

選ばれる理由 ── 同じ業種の他社ではなく、この会社を選ぶ理由が、言葉になって書いてあるか。

次の一歩 ── 「良さそうだ」と思った人が、迷わず次の行動に移れる形になっているか。

順番には理由があります。①が分からなければ②を読む気にならず、②に納得しなければ③を押す理由が生まれません。読む人の頭の中で起きる順に並べているだけです。

この3つは、私が思いつきで決めたものではありません。ウェブ解析士として学んだ「見て・納得して・動く」という段階の分け方を、中小企業のサイトで実際に確かめられる形に落としたものです。基準を公開しているので、同じ順番で見れば、御社ご自身でも同じ採点ができます。

63社のうち、直すところが1つ以下だったのは何社か?

40社です。63社の63.5%にあたります。

内訳はこうなりました。

  • 3つとも○以上 ── 15社(23.8%)
  • △が1つだけ ── 25社(39.7%)
  • △が2つ ── 14社(22.2%)
  • 3つとも△ ── 9社(14.3%)

私がこの数字を見て意外だったのは、真ん中が薄くて両端が厚い形ではなく、上から2段目にいちばん人が集まっていたことでした。「あと1つ」の会社が、いちばん多い。

診断のご依頼をいただくとき、多くの方が「うちのサイト、たぶん全部ダメだと思うんですよ」とおっしゃいます。その感覚は正直だと思います。ただ、外から3つの物差しを当てると、63社のうち3つとも引っかかったのは9社。全体の1割強でした。

その「あと1つ」は、みんな同じ場所だったか?

違いました。△が1つだけだった25社の内訳は、最初の3秒が10社、次の一歩が9社、選ばれる理由が6社です。

ばらけています。10社・9社・6社ですから、どれかに偏っているとは言いにくい数字です。

これは、私にとっては少し都合の悪い結果でもあります。「中小企業のサイトはここが弱い」と1か所を名指しできたほうが、記事としては強い。でも、実際に測ると3つに散りました。

散った理由は、たぶん単純です。それぞれの会社が、それぞれ得意なところを先に埋めているからです。言葉にするのが得意な方は②が埋まっていて、段取りが得意な方は③が整っている。つまり「あと1つ」に残るのは、その方がいちばん後回しにしがちな種類の作業です。会社ごとに違って当たり前でした。

3つとも○だった15社には、直すところが無かったのか?

ありました。15社すべてについて、私は最重要課題を1つ挙げています。

内訳は、証拠の置き場所が11社、問い合わせまでの導線が4社です。

3つの物差しは、あくまで入口の検査です。「3秒で伝わる」は、伝わったあとに何が起きるかまでは測っていません。だから○が3つ並んでも、「実績や資格やお客様の声が、サイトのあちこちに散らばっていて束になっていない」という課題はふつうに残ります。

○は合格点であって、満点ではない。 ここを取り違えると、「うちは大丈夫そうだ」で手が止まります。逆に言えば、すでに3つとも○の会社は、次の一手が「作り直し」ではなく「すでにあるものを集めて置き直す」で済むということでもあります。

直すところが2つ以上あった会社に、共通していたことは何か?

△が2つだった14社は、14社とも「最初の3秒」が引っかかっていました。

組み合わせは2種類しかありませんでした。最初の3秒+次の一歩が8社、最初の3秒+選ばれる理由が6社。「選ばれる理由+次の一歩」の組み合わせ、つまり最初の3秒だけは通っていて他の2つが引っかかる会社は、63社の中に1社もありませんでした。

63社という数ですから、これを法則と呼ぶつもりはありません。ただ、少なくとも私の手元では、つまずきが2つ以上になるときは、入口から始まっていたということになります。

だとすれば、△が2つ以上ある場合の手の付け方は考えやすくなります。最初の画面の一行目から直す。そこが通ると、その先を読んでもらえるようになって、②と③の直しが初めて効いてきます。逆の順番でやると、良い言葉を書いても読まれる前に閉じられます。

なぜ、他社のチェックリストをなぞっても当たらないのか?

「あと1つ」の場所が会社ごとに違うので、上から順に潰す方式だと、当たるまでに時間とお金がかかるからです。

世の中には「サイト改善20項目」のような一覧がたくさんあります。中身が間違っているわけではありません。ただ、63社のうち40社は直すところが1つか、ゼロでした。20項目を上から順にやると、その1つに辿り着くまでに19個の「もう出来ていること」を確認する作業が挟まります。

私が診断でやっているのは、その順番を入れ替えるだけの作業です。3つの物差しを当てて、△が付いたところを先に見る。△が1つならそこが最重要課題になり、△が2つ以上なら入口から。所要時間は1社15分ほどです。特別なことは何もしていません。順番を決めているだけです。

御社ご自身でも同じことはできます。むしろ、御社の仕事を一番よく知っているのは御社なので、②の材料は私より確実に持っておられます。私が役に立てるのは、見慣れてしまって見えなくなった①と③のほうです。

まとめ:今日できる小さな一歩

今日は、直す前に採点だけしてみてください。スマホで自社のトップページを開いて、3つの質問に○か△かで答えるだけです。所要時間は3分ほどだと思います。

① 最初の画面だけを見て、初めて来た人は「何屋さんか」を言えますか?

② 同じ業種の他社ではなく御社を選ぶ理由が、どこかに文章で書いてありますか?

③ 「いいな」と思った人が次に押すものが、迷わず見つかりますか?

①で言葉に詰まったなら、直す順番はそこからです。63社を見た限り、つまずきが2つ以上ある会社は、いずれも入口から始まっていました。②や③を先に直しても、読まれる前に閉じられてしまう可能性があります。

②で詰まったなら、材料が無いのではなく、書いていないだけかもしれません。25社のうち6社がここだけの△でした。ここが△の会社は、①も③も通っているということでもあります。

③で詰まったなら、直しはいちばん小さくて済むかもしれません。電話番号を押せる形にする、問い合わせボタンを本文の途中にも置く。その程度で変わることが多い場所です。

3つとも○が付いた方は、それで完成というわけではなく、次は「持っている証拠が束になっているか」に進む段階だと思います。3つとも○だった15社にも、全社に次の課題が1つありました。

御社が10年かけて積み上げてきたものは、いま画面に映っていないだけで、なくなってはいません。63社を測ってみて、私がいちばん強く思ったのはそこでした。