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御社のトップページは、何回スクロールで終わるか

記事のアイキャッチ。「御社のトップページは、何回スクロールで終わるか」という見出しと、62社を実測し短い側の35.5%が「他社と違う点」を言葉にできていなかったという結果。積み重なった画面と下向き矢印の線画。

先に結論

名刺交換をした会社のサイトを1社ずつ診てきて、78社になりました。そのうちトップページの長さを実際に測って記録が残っているのが62社です。長さは、いちばん短い会社で1.0画面、いちばん長い会社で12.6画面。真ん中は5.06画面でした。短い側31社と長い側31社に分けて比べたところ、「他社と違う点が言葉になっているか」で△がついた割合は、短い側が35.5%、長い側が12.9%でした。短いほうが悪かった、という結果です。ただしこれは「長くすれば伝わる」という話ではありません。今日は、御社のトップページを指で数えるところまでを書きます。

トップページの長さは、どうやって数えたか?

スマートフォンやパソコンの画面が、上から下まで何回分あるかを数えます。特別な道具は要りません。

私は診断のとき、パソコンのブラウザでトップページを開き、ページ全体の高さを画面の高さで割った数を記録しています。たとえば「全4.59画面」と書いてあれば、画面が4回と半分ちょっとで下までたどり着くページ、という意味です。

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御社が同じことをするなら、スマートフォンで御社のトップページを開き、指で下まで送りながら、画面が入れ替わった回数を数えるだけで足ります。1回、2回、3回と数えて、フッター(いちばん下の会社情報が並ぶ場所)に着いたら終わりです。多少ずれても構いません。3画面なのか10画面なのかが分かれば、今日の話には十分です。

62社の内訳はこうなりました。1画面台が4社、2〜3画面台が15社、4画面台が12社、5〜7画面台が19社、8画面以上が12社。真ん中が5.06画面ですから、5画面あたりが「ふつう」の目安ということになります。

62社の実測で、短いページと長いページのどちらが良かったか?

短い側のほうが、成績が悪く出ました。差がいちばんはっきり出たのは「選ばれる理由」の軸です。

私は診断のとき、3つの軸で◎○△をつけています。「伝わり度」(最初の画面で何屋さんか分かるか)、「選ばれる理由」(他社と違う点が言葉になっているか)、「次の一歩」(迷わず問い合わせできるか)の3つです。

長さの順に並べて、短い側31社(1.00〜4.96画面)と長い側31社(5.16〜12.60画面)に分けました。

  • 選ばれる理由に△:短い側 11社(35.5%)/長い側 4社(12.9%)
  • 伝わり度に△:短い側 18社(58.1%)/長い側 11社(35.5%)
  • 次の一歩に△:短い側 12社(38.7%)/長い側 9社(29.0%)

3軸とも短い側のほうが△が多く、なかでも「選ばれる理由」は22.6ポイントの差がつきました。もっと極端に分けると差はさらに広がります。4画面未満の19社では「選ばれる理由」に△がついたのが10社(52.6%)、8画面以上の12社では1社(8.3%)でした。

3つの軸すべてに△がついた会社は62社中6社ありましたが、そのうち5社は真ん中の5.06画面より短いページでした。

これは「長くすれば伝わる」という意味か?

違うと思います。長さは原因ではなく、書ける材料をどれだけ出したかの結果として現れているだけかもしれません。

12.6画面あった社会保険労務士事務所も、11.6画面あった製造業向けIT支援の会社も、意味なく長いのではありませんでした。誰のための事務所か、どんな考え方で仕事をするか、過去に何をしてきたか、その一つひとつを書いていった結果として、そこまでの長さになっていました。

反対に、いちばん短かった1.0画面の会社も、書くことがなかったわけではありません。知的財産を扱う事務所で、所属する3名の経歴はメンバー紹介のページにきちんと書いてありました。トップページの本文が546文字で、そこに1つも出てこなかっただけです。

つまり、長さを足せば中身が増えるのではなく、中身を出した結果として長さが変わるという順番です。1画面のページを引き伸ばして5画面にしても、たぶん何も変わりません。

この差は、長さ以外の理由で説明できないか?

自分で疑ってみました。ひとつの軸については説明がつかず、もうひとつの軸については説明がついてしまいました。

私の診断には2つの入り方があります。名刺交換をした相手を順番に診ていく場合と、サイトを見て「いいなぁ」と思った会社に手紙を書く過程で診る場合です。後者は私が惹かれた会社なので、はじめから成績が良く出やすい。もし長い側にこの「手紙を書いた会社」が偏っていたら、長さの差ではなく私の選び方の差になってしまいます。

数えました。短い側31社のうち手紙を書いたのが17社、長い側31社のうち21社。たしかに長い側にやや偏っています。そこで、同じ入り方どうしだけで比べ直しました。

  • 名刺交換から診た会社だけ:選ばれる理由に△が、短い側64.3%(14社中9社)→ 長い側30.0%(10社中3社)
  • 手紙を書いた会社だけ:選ばれる理由に△が、短い側11.8%(17社中2社)→ 長い側4.8%(21社中1社)

どちらの入り方でも、短い側のほうが△が多いという向きは変わりませんでした。診断した時期の偏りも確かめましたが、短い側も長い側も真ん中の診断日は同じ2026年8月10日で、こちらも説明にはなりません。

一方で「伝わり度」のほうは、同じことをすると崩れました。名刺交換から診た会社だけで比べると、短い側50.0%に対して長い側70.0%となり、向きが逆になります。全体では短い側のほうが悪く見えていたのに、入り方を揃えると逆転する。ということは、伝わり度の差は長さではなく私の選び方で説明がついてしまう可能性があります。

3つの軸のうち、断定できるのはどれか?

「選ばれる理由」だけです。伝わり度と次の一歩については、今日の62社では言い切れません。

伝わり度は、いま書いたとおり入り方を揃えると逆転しました。次の一歩は38.7%と29.0%で差はありますが9.7ポイントで、62社という母数では偶然の範囲を出ているとは言えません。

残ったのは「選ばれる理由」です。全体で22.6ポイント差、極端に分ければ52.6%と8.3%、入り方を揃えても向きが変わらない。短いトップページの会社ほど、他社と違う点が言葉になっていない。今日の62社について言えるのは、ここまでです。

そしてもうひとつ、私の側の限界も書いておきます。長さを記録できているのは78社中62社で、残りの16社は測る前の時期に診た会社です。母数が100社を超えたところで、同じ数え方をやり直します。

なぜ、腕のいい人ほどトップページが短くなるのか?

書けないからではなく、書くのをためらうからだと思います。

私が診た会社の多くは、材料を持っていました。持っていないのではなく、トップページに出していなかった。取引先の名前、続けてきた年数、断ってきた仕事の基準、どれもサイトのどこかには存在していて、ただ最初の画面から離れた場所に置かれていました。

自分の仕事のことを長く書くのは、多くの方にとって気の進まない作業です。売り込んでいるように見えるのではないか、と思う。だから短く、控えめにまとめる。その判断は、雑にやった結果ではなく、丁寧にやろうとした結果として出てきているように見えます。

ただ、初めて御社のサイトを開いた人には、その控えめさは伝わりません。書いていないことは、無いことと同じように読まれます。腕がいいことと、それが読み取れることは、別の話ということかもしれません。

御社のトップページは、何画面あるか?

スマートフォンだけで、5分で終わります。

① 御社のトップページをスマートフォンで開き、指で下まで送りながら、画面が入れ替わった回数を数えてください。フッターに着いたら終わりです。

② その数を覚えたまま、もう一度上から見て、「他社と違う点」に当たる記述が何回出てくるかを数えてください。取引先の名前、続けてきた年数、資格や認定、断る基準、実際にやった仕事の中身。どれも当てはまります。

③ ①が5画面より短く、②が0回か1回だったら、御社は短い側31社と同じ位置にいる可能性があります。

数える作業そのものには、判断が要りません。書いてあるものを数えるだけです。判断が要るのは、そのあとで何を足すかを決めるところで、そこは急がなくていいと思います。

まとめ:今日できる小さな一歩

今日は、直す話でも書く話でもありません。数える話です。

① 御社のトップページは、指で何回送ったら下まで着きましたか?

② その中に、御社が「これは他所には無い」と思っていることは、何回出てきましたか?

③ トップページを今の長さにすると決めたとき、短くしようと考えましたか。それとも、書くことがそれだけだと思いましたか?

①が5回より少なかったとしても、それ自体が問題とは限りません。1画面で成立しているサイトも実際にありました。ただ、そのときは②の答えが効いてきます。

②が0回か1回だった場合、材料が無いのではなく、別のページに置いてある可能性が高いと思います。私が診た会社では、会社概要や沿革、メンバー紹介のページに入っていることがよくありました。トップページから1回押した先です。書く作業ではなく、移す作業で済むかもしれません。

③で「短くしようと考えた」と答えた方は、たぶん多いと思います。長々と自分の話をするのは気が引ける、という感覚は自然なものです。ただ、その気遣いは初めて来た人には届きません。私自身、制作の仕事を始めたころは、きれいに短くまとまったページを良いものだと思っていました。数字を見に行くようになって、その判断を自分では確かめていなかったことに気づきました。

御社が持っている材料の量は、たぶんページの長さより多いはずです。今日数えた回数は、御社の仕事の量ではなく、いま外から見えている量の目安です。