先に結論(この記事の要点)
- 口コミや紹介だけで来ていた新規が増えなくなるのは、仕事の質が落ちたからではなく、口コミが届く範囲の外に何も置いていないからです。
- 私が無料で診断した137社のうち、見ている3つの点が全部弱かったのは11社でした。弱いのが1か所だけだった会社は56社です。
- 1か所だけだった会社でいちばん多かったのは、問い合わせの行き先で27社でした。最初の画面が21社、ほかとの違いが8社です。
- その27社のうち26社は、診断のあとに私から「いいと思ったところ」をお送りした会社でした。
口コミだけで新規が増えなくなったのは、何が変わったからでしょうか?
変わったのは仕事の中身ではありません。口コミが届く人の数が、増えなくなっただけです。
紹介で来る方は、御社に会う前から御社のことを聞いています。「腰のことならあの人」「あの工場は無理な納期でも相談に乗ってくれる」。誰かがその一文を言ってくれていて、来る方はそれを信じて来ます。だから最初のやりとりが短く、値段の話も後になります。
ただ、紹介してくださる方の数は、ある時点から増えなくなります。固定客の方が紹介できる相手を一通り紹介し終えると、新しい名前が出てきません。仕事の質も評判も同じで、新規の数だけが横ばいになります。
このとき、最初に疑うのはたいてい自分の仕事です。腕が落ちたのか、値段が高いのか。私のところに相談が来るときも、ほとんどがこの順番です。けれど数字を見に行くと、少なかったのは仕事ではなく、口コミが届かない相手に向けて用意していたもののほうでした。
紹介で来た人と、検索で来た人は、同じ画面を同じように読むでしょうか?
読み方が違います。紹介で来た方は答えを持って確認に来ますが、検索で来た方は何も持たずに探しに来ます。
紹介で来た方がサイトを開くのは、たいてい場所と電話番号の確認です。何屋かはもう知っているので、最初の画面に書いていなくても困りません。良さも紹介者から聞いています。連絡先も紹介者から聞いているので、サイトの問い合わせ欄は使われません。
検索で来た方は、この3つを全部サイトで受け取ります。何屋かを最初の画面で読み、ほかとの違いを本文で読み、連絡の方法を最後に探します。どこかが欠けていると、そこで止まります。止まったことは御社には伝わりません。
つまり、口コミで回ってきたサイトは、長いあいだ「すでに知っている人」だけを相手にしてきたことになります。欠けていても誰も困らなかったので、気づく機会がありませんでした。手を抜いた結果ではなく、必要がなかった結果です。
私が診た会社では、弱かった場所はいくつあったのか?
3つ全部が弱かったのは137社のうち11社でした。弱いのが1か所だけだった会社は56社で、こちらが5倍多いです。
私は無料の診断で、1社につき3つの点を見ています。最初の画面で何屋か伝わるか、ほかとの違いが文章になっているか、問い合わせまで進めるか。この3つを、よい・ふつう・直したほうがよいの3段階でつけ、表に残しています。
137社ぶんを、直したほうがよいと判断した点の数で並べ直すと、こうなりました。
| 直したほうがよいと判断した点の数 | 社数 |
|---|---|
| 0か所 | 38社 |
| 1か所 | 56社 |
| 2か所 | 32社 |
| 3か所すべて | 11社 |
▶ こうした診断の数字を、毎週メールでお送りしています(無料)
https://shinichi-miyazaki.website/newsletter/?cta=week1021m
3か所すべてが弱かった11社は、137社の8.0%です。1か所だけだった56社は40.9%で、0か所の38社と合わせると94社になります。私が診断した会社の7割近くは、3つのうち2つ以上はすでにできていました。
ここで、1つ正直に書いておきます。「1か所」と数えられるのは、私が3つの点しか見ていないからです。見る点を5つに増やせば、弱い点の数も増えます。ですから、ここで言えるのは「直す場所は1か所で足りる」ではなく、「私が見ている3つのうち、弱かったのが1つだけだった会社が56社あった」までです。それでも、全部を作り直すと決める前に数え直す価値はあると思っています。
弱かった場所が1か所だけだった会社には、何が足りなかったのでしょうか?
いちばん多かったのは問い合わせの行き先で、56社のうち27社でした。最初の画面が21社、ほかとの違いが8社です。
| 弱かった1か所 | 社数 |
|---|---|
| 問い合わせまで進めるか | 27社 |
| 最初の画面で何屋か伝わるか | 21社 |
| ほかとの違いが文章になっているか | 8社 |
ほかとの違いが書けていなかった会社は、この群ではいちばん少ない8社です。口コミで評判になる中身は、文章としてもすでにサイトに乗っていることが多いようです。足りなかったのは、読み終えた方が次に何をするかのほうでした。
問い合わせまで進めるかを「直したほうがよい」と判断するのは、連絡先が無い場合だけではありません。連絡先はあるけれど、何を相談してよいかが書いていない。送ったあとに誰がいつ返すかが書いていない。営業時間や休みが分からない。こうした形が多かったです。ただし、この内訳は表に列として残していないので社数は出せません。出せるのは27社までです。
口コミが強い会社ほど、問い合わせの行き先が後になるのはなぜでしょうか?
直す必要が、これまで一度も生まれなかったからです。紹介で来る方は、紹介者から聞いた電話番号に直接かけてきます。
ここに、私が自分でも意外だった数字があります。問い合わせの行き先だけが弱かった27社のうち、26社は、私が診断のあとに「いいと思ったところ」を書いてお送りした会社でした。この手紙は、売り込みを一切入れず、心から良いと思った会社にだけ書いています。つまり、私が「いいなぁ」と思った会社の側に、この形が集まっていました。別の分け方で数えたときにも同じ向きが出ています(ホームページで集客できない理由は、良さが足りないからではありません)。
理由は単純だと思います。中身が良くて評判が良い会社は、長いあいだ紹介で足りてきました。問い合わせ欄が使われないので、直す必要が生まれません。
これは怠慢ではなく、誠実に仕事をしてきた結果の裏返しだと思っています。目の前の仕事を丁寧にやり、来てくださった方を大事にしてきたから、まだ来ていない方のための場所を作る時間がありませんでした。
ここで、自分も疑っておきます。私が手紙を書くかどうかは、3つの点のうち「ほかとの違いが文章になっているか」を見て決めています。問い合わせの行き先は、手紙を書く判断には入っていません。ですから「良い会社ほど行き先が弱い」と言い切ることはできません。私が手紙を書きたくなる会社の選び方そのものが、問い合わせの行き先を軽く見ている、という説明も同じくらい成り立ちます。言えるのは、私が良いと判定できた会社の中では、この形が26社あったというところまでです。
御社のサイトで、知らない人は今どこまで進めるでしょうか?
スマホで御社のサイトを開き、何も知らない方のつもりで上から下まで読んでみると分かります。確かめる場所は3つです。
1つ目は最初の画面です。指を動かす前に見えている範囲に、何をしている会社かが書いてあるか。社名と短い一言だけなら、知らない方はまだ何屋か分かりません。
2つ目は本文です。業種の名前を消して読んで、それでも御社だと分かる一文があるか。「丁寧な対応」「地域に根ざした」は消すと誰のことか分かりませんが、「こういう場合はお断りしています」は消すと分からなくなります。後者が1つでもあれば足りています。
3つ目は最後です。読み終わったところから、連絡するまでに何回押すか。そして押した先に、何を書けばよいか、いつ返事が来るかが書いてあるか。ここが空いていると、読み終わった方は感心したまま画面を閉じます。
3つのうち弱かったのが1つだけなら、作り直す話にはなりません。私が診た137社では、それが56社でした。
よくある質問
まず、紹介で来た方と検索で来た方の人数を分けて数えてください。紹介の数が同じで新規だけが横ばいなら、空いているのは評判ではなく、評判が届かない相手のための入口です。3か所のうちどこが空いているかで、作業の量が決まります。
なることがあります。私が「直したほうがよい」と判断した27社の多くは、フォーム自体はありました。足りなかったのは、何を書いて送ればよいか、誰がいつ返すかの案内です。送ったあとが分からないと、送る手前で止まります。
やめる必要はありません。紹介で来てくださる方は、御社の仕事がいちばん伝わっている相手です。そのうえで、紹介者が隣にいない方が来たときに同じ話が読めるかどうかを、サイトの側に用意しておくだけです。
できます。私は制作を一回で終える発注先ではなく、御社のウェブのかかりつけ医として、数字を一緒に見続ける立場で仕事をしています。3つの点を今の状態で見て、弱いのが何か所かをお伝えすることから始められます。
まとめ:今日できる小さな一歩
今日の話は、新しい集客の方法を増やすことではありません。すでに人の口で運ばれている一文が、サイトの中にもあるかを確かめることです。3つだけ思い出してみてください。
① 直近で御社を紹介してくださった方は、相手に御社のことをどう説明していたと思いますか。一文で思い出せますか。
② その一文は、御社のサイトの最初の画面に書いてありますか。
③ 紹介で来た方と、検索で来た方で、最初に聞かれることは違いますか。
①で一文が思い出せたなら、御社の良さはすでに言葉になっています。言葉にする作業は残っていなくて、その言葉の置き場所だけが残っているのかもしれません。
②で書いてあったなら、知らない方も同じ入口から入れています。残っているのは、読み終わった方の行き先だけかもしれません。
③で聞かれることが違ったなら、検索で来た方が何を知らないまま来たかが分かります。その答えを先に書いておくと、同じ質問は減るかもしれません。
御社が何年も続けてきた仕事は、もう誰かの口に乗って動いています。動いている言葉を、もう一つの入口に書き写すだけです。

