先に結論。
施工写真をどれだけ増やしても問い合わせが増えないのは、写真が「きれいな仕上がり」しか語っていないからです。お客さんが本当に知りたいのは「この会社は、自分の悩みを分かってくれるのか」。打ち手は二つ。①写真に「誰の、どんな困りごとを、どう解決したか」の物語を添える、②問い合わせ手前のどこで人が離れているかを数字で確かめる。この記事では、その直し方をお伝えします。
「施工事例、こんなに載せているのに」。
ホームページに何十枚も写真を並べ、ビフォーアフターも見せている。なのに問い合わせフォームは静かなまま。そんな工務店・リフォーム会社の代表の方から、私(宮崎)はよくご相談を受けます。
先に申し上げておくと、これは写真が下手だからでも、腕が足りないからでもありません。多くの場合、写真という「素材」が、選ぶ理由という「言葉」に翻訳されていないだけです。ここを直すと、同じ写真でも問い合わせにつながり始めます。
なぜ、施工写真をたくさん載せても問い合わせが増えないのか?
写真が「仕上がりの美しさ」しか伝えず、お客さんの「自分ごと」になっていないからです。
リフォームを考える人は、きれいなキッチンの写真そのものが欲しいわけではありません。「うちの古い台所も、こんなふうに使いやすくなるだろうか」「この会社は、我が家の事情を分かってくれるだろうか」という不安を抱えています。
ところが多くのサイトの施工事例は、完成写真と「〇〇市K様邸 キッチン改修」という一行だけ。これでは、訪れた人は自分の暮らしを重ねられません。プロにとっては誇らしい仕上がりでも、お客さんの目には「よそのお宅の、きれいな写真」で終わってしまう。写真の枚数ではなく、写真が語る中身が足りないのです。
施工事例は、何を書き足せば響くようになるのか?
「どんな困りごとを」「どう考えて」「どう解決したか」という過程と人を書き添えることです。
同じ完成写真でも、次の三つを添えるだけで意味が変わります。一つ目は、お客さんが最初に抱えていた困りごと(例:冬に台所が寒くて立つのがつらい)。二つ目は、あなたがどう考え、何を提案したか(例:断熱と動線を優先し、予算内でここを削った)。三つ目は、その結果どう変わったか(できればお客さんの言葉で)。
これは、たまたま良いコピーを書けるかどうかの話ではありません。取材のように毎回同じ順番で聞き取り、事例として積み上げていく「仕組み」の話です。一本の名文よりも、同じ型で再現できる積み重ねのほうが、信頼は静かに厚くなっていきます。完成写真は他社も見せられますが、途中の判断と人柄は、あなたにしか語れません。
効いているか分からないまま作り足すのは、なぜ危ないのか?
どこで人が離れているかを見ずに増やすと、労力が「見られない写真」に消えるからです。
写真を追加し続けても反応が変わらないとき、多くの方は「まだ足りないのか」と、さらに増やそうとします。けれど本当の詰まりは、別の場所にあることが少なくありません。
私はご相談を受けると、まずアクセス解析(サイトの訪問データ)を一緒に見ます。すると「事例ページまでは来ているのに、その先の問い合わせボタンで止まっている」「そもそも事例ページが検索から見つかっていない」といった、実際の詰まりどころが見えてきます。勘で作り足す前に、事実を一つ確かめる。これだけで、限られた時間の使い先が変わります。勘を否定するのではなく、勘を数字で裏づける、という考え方です。
技術はあるのに問い合わせが来なかった会社の実話
専門性の高い工事会社が、伝え方を整えて反応を得た例があります。
金属工事の専門メーカーである八汐シーリングさんは、確かな技術を持ちながら、その価値がウェブ上で十分に伝わっていませんでした。私は取材でその強みを言葉にし、伝わる形にサイトを整えました。詳しい経緯はこちらにまとめています(八汐シーリングの事例)。
工務店・リフォーム会社にも、同じ考え方がそのまま当てはまります。技術という中身は変えず、その中身が伝わる「形」を整える。それだけで、写真の一枚一枚が働き始めます。
まず今日、何から手をつければいいのか?
一番自信のある施工事例を一つ選び、困りごと・提案・結果の三つを書き足すことです。
すべての事例を一度に直す必要はありません。まずは「これは我ながらいい仕事をした」と思える一件を選び、先ほどの三つ(最初の困りごと/どう考えたか/どう変わったか)を数行ずつ書き添えてみてください。写真はそのままで構いません。それだけで、その事例は「よそのお宅の写真」から「悩みに応えた記録」に変わります。
一件やってみて手応えがあれば、同じ型で二件目、三件目と広げていく。作って終わりにせず、見て、直して、また見る。この小さな循環が回り始めると、サイトは少しずつ「選ばれる理由」を語る資産に育っていきます。
よくある質問
枚数よりも中身です。説明のない写真を50枚並べるより、困りごと・提案・結果を書き添えた事例が5件あるほうが、問い合わせにつながりやすいと考えています。まず質を整え、そのうえで数を増やすのが順番です。
かしこまった感想文をお願いすると、相手も構えてしまいます。工事完了時に「最初、どこが一番お困りでしたか」「終わってみていかがですか」と会話で伺い、その言葉をそのまま短く載せるだけで十分に伝わります。
名文である必要はありません。毎回同じ三つの問い(困りごと・提案・結果)に沿って書けば、型ができて負担が減ります。仕組みにしてしまえば、上手さより続けやすさが効いてきます。
広告で人を集めても、受け皿となる事例が「自分ごと」になっていなければ、費やしたお金が問い合わせに変わりにくくなります。まず受け皿を整えてから集客に進むほうが、結果として無駄が少なくなります。
最後に
施工写真がたくさんあるということは、それだけ良い仕事を積み重ねてきた証拠です。足りないのは腕ではなく、その一枚一枚に「選ぶ理由」を言葉で添える一手間だけかもしれません。
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良いものなのに選ばれない、を変えていく。
ブランドマネージャー・ウェブ解析士 宮崎真一
