TL;DR(先に結論)
- お客様の声を載せても新規が増えないのは、数が足りないからではなく、読んだ人が「自分と同じ状況の人の話だ」と思えないからです。
- 「ありがとうございました」「丁寧でした」だけの声は、どの店にも当てはまるため、読み飛ばされます。
- 効くのは、来る前の迷い → 何が決め手だったか → その後どうなったか、の3点がそろった声です。
- 載せたあとは、その実績ページが実際に読まれているかを数字で確かめる。勘を、データで裏づけます。
なぜ「お客様の声」を載せているのに問い合わせが増えないのですか?
読む人が「自分と同じ人の話だ」と思えていないからです。声の数ではなく、声の中身の具体性が足りていません。
ホームページに、お客様の声を10件も20件も並べている。写真もある。星も5つ並んでいる。それなのに、問い合わせは増えない。この状態のご相談を、私はよくいただきます。
そういうとき、ページの中身を一緒に読ませてもらうと、だいたい似た文章が並んでいます。「丁寧に対応していただき、ありがとうございました」「また利用したいです」。もちろん、これはお客様の本心です。うれしい言葉です。
ただ、この文章は、あなたの同業のサイトに置いても、そのまま成立してしまうんです。丁寧なのはどこも同じ、と言っているのと変わらない。だから読んだ人の中に何も残らず、そのまま次の候補のサイトへ移っていきます。
責める話ではありません。むしろ逆で、お客様の声を集めて載せているのは、それだけで真面目な仕事ぶりの証拠です。惜しいのは、集めた声の使い方だけです。
響く「お客様の声」と、読み飛ばされる声は何が違うのですか?
違いは「来る前の迷い」が書いてあるかどうかです。迷いが書いてあると、同じ迷いを持つ人が自分を重ねます。
読む人は、あなたの技術を評価しに来ているのではありません。「自分の悩みは、ここで解決するのか」を確かめに来ています。
だから、こういう声は届きません。
「とても丁寧に対応していただきました。ありがとうございました。」
一方、こういう声は届きます。
「正直、他の3社と迷っていました。値段はここが一番安いわけではなかったんです。ただ、見積もりのときに『この部分は今やらなくていい』と言ってくれたのがここだけで。半年経って、あのとき削った工事が本当に不要だったと分かりました。」
長さの問題ではありません。前者に足りないのは、次の3つです。
- 来る前の迷い:何と比べていたか。何が不安だったか。
- 決め手:たくさんの候補の中で、なぜここに決めたのか。
- その後:頼んだ結果、何がどう変わったか。
この3点があると、読む人の頭の中で「自分も同じところで迷っている」というスイッチが入ります。これが、10件の「ありがとうございました」より強い。
実績ページは、どう見せれば「自分ごと」になりますか?
「誰の、どんな困りごとを、どう解いたか」の順で書くことです。作ったものの説明から書き始めると、読む人は自分を重ねられません。
実績ページで、つい先に書いてしまうのが「制作したもの」の説明です。何を作ったか、どんな仕様か。これは書き手にとっては書きやすいのですが、読む人が知りたい順番とは逆になっています。
読む人が知りたいのは、この順番です。
- この人は、自分と似ているか(業種・規模・立場)
- どんな困りごとだったか(自分と同じ悩みか)
- どう解いたか、何が変わったか(自分にも起きるのか)
たとえば、私が制作から関わっている八汐シーリング様の事例では、確かな施工技術を持ちながら、それがウェブ上で伝わっていないという課題が出発点でした。技術の中身ではなく、まず「何に困っていたか」から始まる。この順番だと、同じ悩みを持つ方が自分を重ねられます。
もうひとつ、地味ですが効くのが掲載の許可を丁寧に取ることです。お客様の実名・写真・具体的な言葉が入るほど、読む人の信頼は上がります。逆に、匿名・イニシャル・イラストばかりのページは、どれだけ数が多くても、読む人の中で「作られたもの」に見えてしまいます。盛る必要はありません。事実をそのまま、許可を得て出す。それだけで十分に強いです。
お客様の声は、どうやって集めればいいですか?
「感想をください」と聞かないことです。質問を3つに分けて聞くと、そのまま使える声になります。
「ご感想をお願いします」とお願いすると、お客様は気を使って「丁寧でした。ありがとうございました」と書いてくださいます。優しい人ほどそうなります。だから、聞き方を変えます。
私がおすすめしているのは、この3つを分けて聞く方法です。
- 「ご依頼の前、何に一番困っていましたか?」
- 「他とも比べたと思うのですが、最後にうちに決めた理由は何でしたか?」
- 「頼んだあと、何か変わったことはありますか?」
この3つに答えてもらうだけで、さきほどの「迷い → 決め手 → その後」がそのまま揃います。口頭で聞いて、こちらで文章にまとめ、最後に「この形で載せてよいですか」と確認する。お客様に文章を書かせないほうが、かえって生の言葉が残ります。
施術や工事が終わった直後、まだ気持ちが温かいうちに聞くのが一番です。時間が経つほど、記憶は「よかったです」に丸まっていきます。
載せたあと、効いているかはどう確かめますか?
アクセス解析で「実績ページが読まれているか」「読んだ人が問い合わせに進んでいるか」を見ます。ここを見ずに直しても、当てずっぽうになります。
お客様の声を書き直したら、次は数字で確かめます。難しいことはしません。見るのは、だいたいこの3つです。
- 実績ページに、そもそも人が来ているか(来ていなければ、中身以前に導線の問題)
- どのくらいの時間、読まれているか(数秒で離脱なら、冒頭で自分ごとになっていない)
- 実績ページを見た人と、見ていない人で、問い合わせ率が違うか(違えば、そのページは効いています)
ここを見ると、驚くほどはっきりします。「実績ページは月に3人しか見ていなかった」と分かれば、直すべきは中身ではなく、トップページからの導線です。逆に「実績を読んだ人だけ問い合わせ率が高い」と分かれば、そのページをもっと目立つ場所に置けばいい。
大事なのは、一度の大きな作り直しではなく、この小さな一巡を続けることです。載せる → 数字を見る → 直す。これを繰り返すほど、実績ページは「選ばれる理由」を語る資産に育っていきます。派手な一手より、続けられる仕組みのほうが、結局は強い。
私自身、かつては見た目とコピーの腕だけで納品していました。あるとき、長いお付き合いのお客様に「ホームページ、結局あまり効果がなくてね」と言われ、自分の仕事がビジネスに貢献できていなかったことにショックを受けました。この後悔があって、勘ではなく数値で語るためにウェブ解析士を取りました。だから、勘を否定するつもりはまったくありません。勘を、データで裏づける。そういう考え方です。
今日の小さな一歩
自分の実績ページを開いて、いちばん上のお客様の声を1件だけ読んでみてください。そこに「来る前の迷い」が書かれているでしょうか。書かれていなければ、次にお客様と話すとき、先ほどの3つの質問をそのまま聞いてみてください。それだけで、次の1件は変わります。
もし、「どこから直せばいいか分からない」ということでしたら、30分の無料診断をご利用ください。あなたのサイトを一緒に見て、実績ページが読まれているか、どこで人が離れているかを、事実に基づいてお伝えします。売り込みはしません。平日8時〜16時、オンラインで対応しています。
よくある質問
件数よりも中身です。「迷い → 決め手 → その後」が入った濃い声が3件あれば、薄い声が20件並んでいるページより効きます。まずは1件を書き直すところから始めてください。
「感想を書いてください」ではなく、「今後の参考に、3つだけ質問させてください」と聞いてみてください。お客様は書く負担がなく、こちらは生の言葉が手に入ります。文章にまとめてから「この形で載せてよいですか」と確認すれば、断られることはほとんどありません。
ないよりは、ずっとあります。ただ、実名・写真・具体的な言葉が入るほど信頼は上がります。すべて匿名にするのではなく、許可をいただけた方だけでも実名にすると、ページ全体の説得力が変わります。
検索から人が来る量は、すぐには変わりません。先に変わるのは「実績ページを読んだ人が問い合わせに進む割合」です。アクセスが少ない場合は、まずページが読まれているかを確かめてから、中身を直すほうが早く効きます。
1件でかまいません。1件を、迷い・決め手・その後まで丁寧に書いたページは、薄い声を10件並べるより強いです。数がないことを弱みだと思わなくて大丈夫です。—
