先日、ポッドキャスト「AIラヂオ」にゲスト出演させていただき、ハーモニクソサエティの師田さんと「AI×Web制作」をテーマに対談する機会をいただきました。Web制作の現場は今、まさに劇的な変化の真っ只中にあります。AIの登場によって、私たちの仕事のやり方、提供する価値、そして顧客との関係性まで、根本的に変わりつつあるのです。
戦略的ウェブ制作工房エル・タジェールの代表として、WordPress構築とウェブ解析を専門に活動する中で、この1年間で感じた変化は想像以上でした。今回の対談では、現場で実際に起きているリアルな変化について、率直にお話しさせていただきました。本記事では、その内容を振り返りながら、AI時代のWeb制作について深掘りしていきます。
変化1: コーディング作業の劇的な効率化
AIの登場によって、最も顕著に変化したのがコーディング作業です。従来、数時間かけて書いていたコードを、AIが数分で生成してくれるようになりました。これは単なる時間短縮ではなく、Web制作における最も大きな変化の一つだと言えます。
生産性の向上は年単位で飛躍的に伸びています。主に上流工程に携わられていた方々も、AIのサポートがあれば実装まで手がけられるようになってきました。コードを一から書く作業が減少し、プロトタイプ（それも完成度の高い）をAIが作成できる時代になったのです。
私自身、VS Codeから始まり、Cursor、そして最近ではClaude Codeを主に使用しています。JavaScriptの動きの追加やピンポイントの修正には、引き続きCursorを活用しています。師田さんは、GPT-5やClaude Sonnet 4.5を使い分けながら、スライド作成やディープリサーチにもGensparkを駆使されているとのこと。LP構成などの各種資料入力では自然言語入力でほぼ完成形まで持っていけるFigmaのデザインツールMakeも紹介されました。
このような効率化は、一人法人として活動する私のような立場にとって、まさに「パワースーツ」のような存在です。小規模でありながら、大きな成果を出せる可能性が広がっているのです。
変化2: 「作って終わり」から「顧客成功」へのシフト
Web制作のビジネスモデルが根本的に変化しています。従来の「納品して終わり」というモデルから、「顧客の成功にコミットメントし、サイトを育てコンバージョンを培う」時代へと移行しているのです。
AIによってコーディング作業が効率化された今、Web制作者に求められる価値は大きく変わりました。単にサイトを作るだけではなく、そのサイトが顧客のビジネス目標達成にどう貢献するかが重要になっています。これは、エル・タジェールが掲げる「御社のデジタル成長パートナー」という理念と完全に一致しています。
ウェブ解析士として、私はデータに基づいた戦略的なアプローチを重視してきました。過去の失敗経験から「勘や経験に頼らないデータドリブンなアプローチ」の重要性を学び、現在はその知見を活かして企業の売上向上・問い合わせ増加に貢献しています。AI時代においても、この「顧客の成功を共に追求する」姿勢こそが、Web制作者の真の価値なのです。
Notebook LMでFAQサイトを効率的に作成する小技なども対談では紹介されましたが、こうしたツールの活用も、最終的には顧客の課題解決という目的のための手段に過ぎません。技術は進化しても、顧客の成功を第一に考える姿勢は変わらないのです。
変化3: AI時代に人間が残すべき価値の明確化
AIが台頭する中で、「人間は何をすべきか」という問いが重要になっています。対談の中で、人間が残すべき価値として明確になったのは、コミュニケーション力、要件をヒアリングする力、そして問題を見つけて回答を導き出す力です。
AIは新聞記者であり、人間は編集局長としてAIの成果物をうまくアレンジし、最終的なゴール（コンバージョンなど）に向けて調整する役割を果たします。これは非常に重要な視点です。AIに全てを任せるのではなく、人間が戦略的な判断を下し、AIをツールとして活用する。この役割分担が、AI時代のWeb制作における成功の鍵となります。
私の強みであるウェブ解析やデータドリブンマーケティングの知見は、まさにこの「編集局長」としての役割を果たすために不可欠です。データを読み解き、顧客のビジネス課題を特定し、最適な解決策を提案する。これらは、AIには代替できない人間ならではの価値なのです。
パーソナルな働き方という観点でも、AIを「パワースーツ」のように活用することで、小規模でも効果的に成果を出せる時代になっています。固定費がかからない「一人法人」のような働き方が有利になる可能性も示唆されました。AIを恐れるのではなく、相棒として活用していくことの重要性について、対談では深く語り合いました。
変化4: Web制作に求められるスキルセットの変化
専門的な業界知識がなくても、AIがどこあえずの成果物（文章やコード）を作成できる時代になりました。これは、Web制作者に求められるスキルセットが変化していることを意味します。
従来は技術的なスキル、特にコーディング能力が重視されていました。しかし今は、AIを適切に使いこなす能力、顧客の課題を正確に理解する能力、そしてデータに基づいて戦略を立案する能力が重要になっています。
私が保有するウェブ解析士、SEO検定1級、生成AIパスポートといった資格は、まさにこの新しい時代に求められるスキルセットを体現しています。技術的な知識に加えて、マーケティング的な視点、データ分析能力、そしてAI活用リテラシーを統合的に持つことが、これからのWeb制作者には必要なのです。
対談では、AIを恐れるのではなく、相棒として活用していくことの重要性が強調されました。AIは仕事を奪う存在ではなく、私たちの能力を拡張してくれる存在です。重要なのは、AIをどう使いこなすかという人間側の判断力と戦略性なのです。
変化5: 「ブランディング」と「問題発見力」の時代へ
Web制作の本質が「ブランディング」であり、AI時代において必要なのは正解を求める力ではなく、問題を見つけて回答を導き出す力であるという点も、対談で強調されました。
従来のWeb制作は、ある意味で「正解」を求める作業でした。デザインのベストプラクティス、SEOの最適化手法、コーディングの標準規格など、確立された方法論に従って制作を進めることが重視されていました。しかしAI時代においては、こうした「正解」の多くはAIが提示してくれます。
では人間は何をすべきか。それは、顧客のビジネスにおける本質的な課題を発見し、その解決策を戦略的に考えることです。これこそが「ブランディング」の本質であり、データドリブンなアプローチが真価を発揮する領域なのです。
エル・タジェールでは、WordPress構築から運用サポート、ウェブマーケティング支援まで一気通貫でサービスを提供していますが、これは単に技術的なサービスを提供するだけでなく、顧客のビジネス課題を発見し、解決策を共に考えるパートナーでありたいという想いからです。AI時代だからこそ、この「問題発見力」と「戦略的思考力」が、Web制作者の最も重要な価値となるのです。
まとめ: AIは脅威ではなく、パワースーツ
ポッドキャスト「AIラヂオ」での対談を通じて、改めて確信したことがあります。それは、AIは私たちの仕事を奪う脅威ではなく、能力を拡張してくれる「パワースーツ」だということです。
Web制作の現場は確かに劇的に変化しています。コーディング作業は効率化され、求められるスキルセットは変わり、ビジネスモデルも進化しています。しかし、その変化の中心にあるのは、常に「顧客の成功」です。AIがどれだけ進化しても、顧客のビジネス課題を理解し、最適な解決策を提案し、共に成長していくという人間ならではの価値は変わりません。
戦略的ウェブ制作工房エル・タジェールでは、データドリブンなアプローチとAI活用を組み合わせながら、お客様のデジタル成長をサポートしています。「作って終わり」ではなく、お客様のビジネス目標達成のためのパートナーとして伴走する。これこそが、AI時代のWeb制作における真の価値だと考えています。
ポッドキャスト本編はこちらから聴くことができます。
今回の対談で語った内容について、より詳しく知りたい方は、ぜひポッドキャスト本編もお聴きください。また、次回の記事では、私が実際に使用しているAIツールについて、具体的な活用方法を詳しく解説する予定です。
AI時代のWeb制作について、ご相談やご質問がある方は、お気軽にお問い合わせください。デジタル庁デジタル推進委員として、また一人の実践者として、皆様のデジタル成長をサポートさせていただきます。
