今回担当した行政書士さんのサイトは、かつて検索結果の40位近くに沈んでいました。ネットからの問い合わせもほとんど増えない状態が続いていました。
しかし、わずか半年で状況は一変します。平均掲載順位が20位台へ、そして10位以内へと上昇。その結果、ネットからの問い合わせが明らかに増加したのです。
このターンアラウンドを実現したのは、大がかりなサイトリニューアルではなく、ある一つの根本的な課題を特定し、データに基づいて改善する戦略でした。
【背景1:行政書士業界の構造的課題】
行政書士業界を見ると、実は大きく二つのタイプのビジネスが存在します。建設業許可から相続手続き、外国人ビザ対応まで、幅広くサービスを提供する「オールラウンド型」と、特定の分野、例えば外国人ビザや民泊手続きに特化した「特化型」です。
担当した行政書士さんはオールラウンド型でした。顧客からすれば何でも相談できる頼もしい存在ですが、Google検索の世界では逆風が吹いていました。Googleは「専門性」を高く評価するため、特化型サイトの方が特定のキーワードでは上位表示されやすいのです。
つまり、この行政書士さんが持つ強み——複数の分野に対応できる力——が、検索結果では弱点として機能していたわけです。
【背景2:サイト診断で浮かび上がった根本課題】
改善をスタートする前に、現状を詳しく診断してみました。すると、予想外の事実が判明します。
メタディスクリプション(Google検索結果に表示される説明文)がそもそも設定されていなかったのです。24年末時点で、Googleが勝手にサイト内のテキストを抽出して表示している状態でした。
つまり、検索結果の画面上で「この行政書士は何ができるのか」「なぜこの行政書士を選ぶべきなのか」という情報が、ユーザーには全く伝わっていなかったということです。地域にある一般的な行政書士のサイトとして、見た目上は変わり映えしない状態が続いていました。
これが、ネットからの問い合わせが増えない根本的な理由でした。
【第1次改善:タイトルとメタディスクリプション戦略】
そこで動いたのが、検索結果画面での「見え方」を変える戦略です。
まず、行政書士業界の検索結果を徹底的に調べました。「建設業許可」「相続手続き」「外国人ビザ」など、主要なサービスキーワードで実際に検索1位から10位までのサイトを分析し、上位表示しているサイトのタイトルやメタディスクリプションがどういう構成になっているかを言語化しました。同時に、ユーザーが実際に「何を求めて検索しているのか」という検索意図も掘り下げます。
その上で、行政書士さんのサイトに対して、各ページに適切なメタディスクリプションを新たに設定しました。ただ単にキーワードを詰め込むのではなく、ユーザーが「あ、この行政書士なら自分の課題を解決できそう」と感じるような説明文に仕上げることが重要です。
同時に、サービスページの構成も見直しました。それまで散在していた各サービスを、より明確に「建設業許可」「相続」「ビザ」といった形でランディングページ化し、各ページが狙うキーワードを意識した構成に変更したのです。
この施策により、平均掲載順位は40位近くから20位台へと改善されました。Google検索からのクリック数も目に見えて増え始めます。ネットからの流入が増え始めた第一段階です。

【中間検証:3ヶ月間のデータ分析】
しかし、ここで終わりではありません。その後の3ヶ月間、GoogleアナリティクスとSearch Consoleのデータを詳しく検証してみると、新たな課題が浮かび上がってきました。
ページによって「ユーザーの動き」にばらつきがあったのです。あるサービスページは検索順位が上がり始めているのに、別のサービスページはまだ40位以上に沈んだままです。また、ページによって「見やすさ」が異なることにも気づきました。統一感がないため、ユーザーが「どのページを見ても情報が揃っている」という安心感を持ちづらい状況でした。
【第2次改善:ユーザー体験と情報構成の統一】
そこで動いたのが、より精緻な改善戦略です。
全てのサービスページを同じ構成に統一することにしました。ユーザーが「どのページを訪れても、同じように見やすく、必要な情報が揃っている」という体験を実現するためです。具体的には、サービスの概要から始まり、こんな方に向いているのか、具体的な手続きの流れ、料金や期間、そして最後にお問い合わせへと導く——という統一された流れを設計しました。
同時に、各ページのテキスト内容も徹底的に見直します。キーワード調査に基づいて、ユーザーが検索している「本当の質問」に答えるようなテキスト構成に改善したのです。
タイトルやメタディスクリプションも、第1次改善で設定したものをさらに磨き上げました。クリック率が低いページは、なぜユーザーがクリックしないのかを分析し、より行動喚起力の高い表現に修正しました。
この第2次改善の結果、平均掲載順位は20位台から10位以内へと躍進します。そして、クライアント側からは「ネットからの問い合わせが明らかに増えた」という嬉しい報告をいただきました。
【なぜこの改善が効いたのか】
行政書士業界でオールラウンド型のサイトが埋もれてしまう理由は、実は情報設計の問題だったのです。
特化型サイトは「ビザ関連の検索」に徹底最適化されているため、そのキーワードでは強いです。しかし、オールラウンド型なら「建設業許可」でも「相続」でも「ビザ」でも、複数のキーワードで上位表示を狙える。つまり、複数の入口からユーザーを獲得できるはずです。
その可能性を引き出すには、メタディスクリプションで「何ができるのか」を明確に伝えることが不可欠です。ユーザーは検索結果の説明文を見て、クリックするか判断するからです。そして、実際にサイトに訪れたユーザーが「この行政書士は信頼できる」と感じるためには、ページ構成やテキストの統一感が重要になります。
見晴らし坂行政書士さんの改善は、この一連のプロセスをデータドリブンに実行した結果です。
【クロージング】
「作って終わり」ではなく、データを見ながら継続的に改善する。これが本当のSEO対策です。
もしあなたのサイトが「ネットからの問い合わせが増えない」「やったはずのSEO対策が効果が出ていない」という悩みを抱えているなら、根本的な課題は意外とシンプルなところにあるのかもしれません。
エル・タジェールは、御社のデジタル成長パートナーとして、データに基づいた診断と改善戦略をご提案します。

コメントを残す