ストーカー広告の終焉

かつて、一度サイトを見ただけの客を、ネットの果てまで追いかけ回す「リターゲティング広告」というものがあった。
あれは便利じゃったが、客からすれば「気味の悪いストーカー」でしかなかったのじゃ。
2026年現在、SafariとFirefoxは完全ブロック、Chromeはユーザー選択(実質的なブロックに近い状態)となっておる。
これにより、御社は以下の2つの「視力」を失った。
- 個人の追跡: ユーザーが複数のサイトをまたいでどう動いたかが見えない。
- 効果の測定: 広告をクリックした人が、本当に購入したのかどうかが(従来のやり方では)正確に測れない。
「数字が見えないと改善できません!」と泣きつく前に、新しい眼鏡(計測手法)をかけるのじゃ。
第1章:なぜ「管理画面の数字」と「実数」がズレるのか?
「Google広告の管理画面ではCV100件となっているのに、実際の注文は80件しかない(あるいはその逆)」
こんな現象が起きておらぬか?
これは「欠損」と「推定(モデリング)」のせいじゃ。
- ブラウザがクッキーを拒否するため、計測データには穴が空く(欠損)。
- プラットフォーム(GoogleやMeta)は、その穴をAIによる「推測」で埋めようとする(モデリング)。
「このユーザーの動きは、購入した人に似ているから、たぶん購入したとしてカウントしよう」とな。
これからは、「1円単位で正確なデータを追う」という潔癖症は捨てよ。
「傾向(トレンド)を把握する」ことに頭を切り替えるのじゃ。
第2章:これからの武器となる「新しい道具」たち
では、ただ指をくわえて「推測」を信じるしかないのか?
いや、やりようはある。
これからは「ブラウザ(客の端末)」に頼らず、「サーバー(御社の裏口)」からデータを送るのじゃ。
1. サーバーサイド計測(CAPI / Server-side GTM)
これまでは、客のブラウザから直接、GoogleやFacebookに「買いました」と報告させていた。これがブロックされる原因じゃ。
これからは、御社のサーバーが注文を受け取った瞬間に、サーバーの裏口から直接プラットフォームに「売れたぞ」と通知する。これならブラウザの制限を受けん。
- Meta(Facebook/Instagram): コンバージョンAPI(CAPI)
- Google: 拡張コンバージョン / サーバーサイドGTM
これらを導入していないなら、御社は「裸眼」で射撃をしているようなものじゃ。早急にエンジニアと相談せよ。
2. ファーストパーティデータの活用
他人のデータ(サードパーティ)が使えないなら、自分のデータ(ファーストパーティ)を使えばよい。
メールアドレス、電話番号、LINEのID。
これらを(もちろん同意を得て)暗号化し、広告媒体にアップロードして照合する「カスタマーマッチ」が、これからのターゲティングの主役じゃ。
第3章:技術の前に「サイトそのもの」を鍛え直せ
クッキーレス対策というと、どうしても技術的な話になりがちじゃ。
だがな、いくら高度な計測ツールを入れても、「肝心のWebサイトが魅力的でなければ、誰も情報を渡さない」という本質は変わらん。
客が喜んでメールアドレスや個人情報を登録したくなるような、信頼できるサイトになっておるか?
ただ「作っただけ」のサイトになってはおらんか?
計測の穴を埋める技術も大事じゃが、穴の開いたバケツ(サイト)を塞ぐ方が先決じゃ。
サイトそのものを「稼げる構造」に変えるための全体設計については、わしが書き下ろした以下の「教科書」で徹底的に学んでおくことじゃな。
クッキーがなかろうが、この教科書にある「顧客心理の読み解き」さえできておれば、客は必ず戻ってくる。
第4章:2026年の広告運用の正解
最後に、クッキーレス時代の広告運用のコツを授けよう。
「細かいターゲティング」はやめよ
昔のように「30代・男性・東京在住・車好き」と細かく絞り込むのは悪手じゃ。データが欠損しているため、絞れば絞るほどAIが学習できなくなる。
今は「ブロード配信(ノンターゲティング)」が主流じゃ。
「誰に出すか」はAIに任せ、御社は「何を見せるか(クリエイティブ)」に全精力を注げ。
「ラストクリック」を見るな
「最後に広告をクリックした人」だけを評価する時代は終わった。
動画を見て認知し、検索して検討し、最後にメールから買った。この一連の流れ(アトリビューション)を評価せねば、本当に貢献している広告を停止してしまうことになるぞ。
作っただけのサイトを「働く営業マン」に変えるエッセンスは、こちらにまとめてある。
ぜひ読んで欲しい。
結び:データの「量」より「質」と「絆」

クッキーレス時代とは、見方を変えれば「信頼の時代」じゃ。
こそこそとデータを抜き取るのではなく、「あなたと繋がりたい」と客に思わせ、堂々とデータを預けてもらう。
そういう商売の原点回帰じゃよ。
「数字が見えなくなった」と嘆く暇があったら、目の前の客(ファーストパーティ)を大切にせよ。
そうすれば、数字は後からついてくる。

