はじめに ― 千葉に続いて、今度は東京で
2026年4月30日(木)、Tokyo WordPress Meetupが主催する「WordPress AI & Community Night」に参加してきました。会場はGoodSpace西新宿401、日本語と英語のバイリンガルで進行された、WordPressコアに搭載されるAIネイティブ機能を「みんなで触る」ための実践イベントです。
直前の4月26日には、Chiba WordPress Meetupで Automattic 花森海音さんから「WordPress公式の教育プログラム3つの輪」のお話を聞いてきたばかり(その記事はこちら)。あの時、頭が完全に「これは時代の節目だ」モードになっていたところに、続けて東京で WordPress 7.0 × AI を実際に触る機会が来た。これは記録に残すしかない、という気持ちで筆を取っています。
そしてもう一つ。今回の東京ミートアップでも、冒頭で WordPress公式の教育プログラム(Campus Connect等) が改めて紹介されました。日本のWordPressコミュニティ全体で、教育プログラムの機運が確実に高まっています。本記事の後半では、母校・立教大学でCampus Connectを実現したい という前回からの思いを、もう一度書かせてください。
イベント概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | WordPress AI & Community Night |
| 主催 | Tokyo WordPress Meetup |
| 日時 | 2026年4月30日(木) 18:00 – 21:00 |
| 会場 | GoodSpace西新宿401(東京都新宿区西新宿7-14-5 富士ビル 4F) |
| 言語 | 日本語・英語のバイリンガル |
| 形式 | 教育プログラム紹介 → AIハンズオン → ネットワーキング |
アジェンダはきれいに3部構成で、18:00 WordPress教育プログラム紹介、19:00 WordPress AI を試してみよう(グループ探索セッション)、20:00 ネットワーキング。ピザと飲み物付き。新規メンバーも大歓迎、というオープンな雰囲気でした。
第1部(18:00〜)― WordPress教育プログラム、Tokyoでも紹介された
冒頭の30分強は、WordPress公式の教育プログラム(wordpress.org/education/)の紹介です。
千葉でも聞いた話ですが、改めて東京のミートアップでも紹介されたという事実が、自分にとっては大きな意味を持ちました。「特定の地域・特定の登壇者だけが推している話」ではなく、WordPressコミュニティとして日本全体に広げていきたい大きな流れとして位置づけられていることが、はっきり可視化されたからです。
紹介された内容は、3つのプログラムの相乗効果。
- WordPress キャンパスコネクト(WPCC) ― 大学・専門学校で1日かけて開催する短期イベント。学生と地域コミュニティをつなぐ「入口」。
- WordPress クレジット ― 学生がオープンソース貢献を通じて大学単位を取得できる、世界初のプログラム。2025年WordCamp Europeでピサ大学と共同発表、現在17以上の機関が参加。
- WordPress 学生サークル ― キャンパス内でWordPressを学ぶ継続的なコミュニティ。教職員1名 + 学生代表2名から始められる。
特に印象に残ったのは、「大学側の負担は3点だけ」というメッセージ。①コンテンツについての協議、②学生の参加奨励、③会場の提供 ― これだけで、講師・スポンサー・運営テンプレ・カスタマイズ可能なスライドデッキ・ブランディング素材は、すべてWordPress側が用意してくれます。
「重い決裁を取らなくても始められる」設計になっていることが、この日改めて腑に落ちました。
第2部(19:00〜)― WordPress 7.0、AIネイティブ機能を実際に触る
ここからが本当の本編。WordPress 7.0 に向けて開発中の AI Experimentsプラグイン(プラグインスラッグ:ai)を、参加者全員でハンズオンしました。
AI Experimentsプラグインとは
WordPress.orgで配布される無料プラグインで、位置づけはまさに 「WordPress AIラボラトリー」。WordPressコアにAI機能を本格搭載する前段として、AIのビルディングブロックを一箇所に集めた、ユーザー向けツールであり、開発者向けリファレンス実装でもあります。
「WordPressがAIをどう取り入れていくのか」を、コミュニティ全体で触りながら一緒に決めていくためのプラットフォーム、と捉えるのが正確です。
セットアップ ― インストール不要で誰でも触れる
驚いたのは、参加のハードルが極端に低かったこと。WordPress Playground(playground.wordpress.net)を使えば、ローカル環境すら不要、ブラウザだけで完結します。
手順はシンプルでした。
playground.wordpress.netを開く(またはLocal/Studio等の任意のローカル環境)- プラグイン → WordPress Beta Tester をインストール
- プラグイン → AI をインストール
- プラグイン → AI → Connectors で AI APIキー(Claude / Gemini / OpenAI のいずれか)を追加
- 保存
APIキーはPlayground内のブラウザにのみ保持され、外部に送られない設計。OpenAIとGoogle Geminiは無料枠あり。Anthropic(Claude)は今のところ既知の不具合があるとのことで、私はGeminiの無料枠で試しました。
触ってみた3つの実験機能
WordPress 7.0で実験的に投入される予定のAI機能は、現時点で大きく3つ。順番に触ってみました。

① タイトル生成(Title Generation) コンテンツの下書きから、AIが投稿タイトルを自動提案してくれる機能。試した中で一番安定して動いていたのがこれでした。記事を書きかけて「タイトルが決まらない」状態の救済策として、純粋に便利。エル・タジェールでクライアントのブログ運用を支援している立場としても、これは編集者の負荷軽減に明確に効きます。

②サマリーの生成 右袖の「Regenerate Summary」ボタンを押すだけで、一番上に1つセクションを作り、90文字の要約を作ってくれます。

③ メタディスクリプション生成 右袖に「Meta Description」というセクションができています。「Genereate」をすると小窓が開き、候補文章が生成されます。SEO的に効果があるのかはわかりません。

④カテゴリーとタグの候補を生成 カテゴリーとタグに生成機能がついています。すでにあるカテゴリから最適なものを選ぶのではなく、新しくカテゴリやタグの候補を生成します。
「触る → 議論する」の構造が秀逸だった
ハンズオンの後、参加者全員で議論する時間がありました。問いかけは公式デッキにあった以下の5つ。
- 何を発見しましたか?
- 明日リリースされたら、これを使いますか?
- 最初に変えたいと思ったことは何ですか?
- 意外だと感じた点はどこですか?
- WordPressのどのワークフローにAIが役立ちそうですか?
そしてその場の声は、すべて github.com/WordPress/ai にフィードバックとして送れる設計になっています。
ここがWordPressらしさの真骨頂だと思いました。「使う側」が「作る側」と地続きになっている。コアに入る前のAI機能を、コミュニティが触り、議論し、GitHubで意見を返し、その声で次の実装が決まっていく。商用クラウドサービスの「上から降ってくるAI機能」とは、設計思想が根本的に違います。
私の感想 ― 「データドリブン × WordPress × AI」の解像度が一気に上がった
私は 生成AIパスポート資格 を持っていて、エル・タジェールの屋号でデータドリブンなWordPress構築・運用支援を生業にしています。だからこそ、今日触ったAI機能を 「明日からの実務にどう組み込めるか」 という視点でずっと考えていました。
頭の中で言語化できた点を3つだけ書いておきます。
1. タイトル生成は、A/Bテストの起点として強い ウェブ解析士として、コンテンツ運用ではタイトル次第でCTRが大きく動くことを何度も見てきました。AIで複数案を一気に出し、それをデータで検証する ― このサイクルがWordPress標準機能の上で回るなら、運用側の負担は劇的に下がります。
2. コメントモデレーションは「データの民主化」の文脈で効く 感情スコアリングは、要するにコメント欄を構造化データに変える機能です。これまでGoogle Analyticsのイベントトラッキングや別サービスでやっていた話が、WordPress内で完結する。データドリブンに「読者の声」を扱える土台として、価値は大きい。
3. 「使う」と「作る」の境界が薄くなる ここが一番大きな変化です。WordPressがAIをコア機能として持つということは、「AIを使うサイト」ではなく 「AIを設計するサイト」 が個人事業主にも作れる、という意味。これはエル・タジェールが掲げる「お客様と共に成長するパートナー」のあり方そのものに、新しい可能性を加えてくれます。
ネットワーキング ― 顔の見えるWordPressコミュニティの強さ
20:00からのネットワーキングは、ピザと飲み物を片手に、WordPressユーザー・デザイナー・デベロッパー・クリエイターたちと自由に話す時間。
東京のWordPressコミュニティのメンバーと、AI機能の体感、教育プログラムの可能性、それぞれの仕事の話を交わしました。「コミュニティの中で同じツールを愛している人と話す」時間の濃さは、リモートワーク中心の私の日常では本当に貴重です。
主催・運営の皆さま、会場をご提供いただいた皆さま、ありがとうございました。
母校・立教大学で、Campus Connectを実現したい(再)
ここから、前回の千葉ミートアップ記事の後半と同じテーマを、改めて書かせてください。
東京ミートアップでもCampus Connectが紹介されたという事実は、私にとって「もう一度母校に呼びかけよう」と背中を押されるものでした。
立教大学は、人文学・メディア・経営・社会・データサイエンス領域など、「発信」と相性のいい学部を多く擁しています。WordPressという「発信の民主化」のためのオープンソース、そしてこれから入ってくるWordPress 7.0のAIネイティブ機能は、立教の学風と本質的に親和性が高いはずです。
今回のミートアップで改めて確認できた事実を整理すると、立教でCampus Connectを始めるハードルは、驚くほど低いです。
- 大学側の負担は3点だけ:①コンテンツ協議、②学生参加の奨励、③会場提供
- 教職員1名 + 学生代表2名 から学生サークルを始められる
- 講師・スポンサー・運営テンプレ・スライドデッキ はすべてWordPress側が用意
- 学生用WordPress環境(WordPress.com学生プラン、在学中無料)が標準で使える
- そして今、WordPress 7.0のAI機能という、学生に刺さる「いま触れる最新技術」を企画の核に据えられる
立教大学関係者の皆さまへ ― 改めてお願い
この記事を読んでくださっている方の中に、もし以下に当てはまる方がいらっしゃったら、ぜひお声がけください。
- 立教大学の 教職員 の方
- メディア社会学科・経営学部・社会情報学・データサイエンス領域などの先生にお繋ぎいただける方
- 立教大学の 学生団体・サークル(特にプログラミング系・メディア系・起業系)に関わる方
- 立教大学の OB/OG で、人事・産学連携・学生支援の窓口にお心当たりのある方
- 「Campus Connectやってみたい」と思った他大学の関係者の方(立教以外でも全力でご協力します)
私ができることは前回と変わりません。
- 企画書作成 ― 公式テンプレートをベースに、立教大学版Campus Connectの企画書をエル・タジェールで書きます
- 当日運営支援 ― ウェブ解析士・生成AIパスポート資格保有者として、当日の講師・メンターとして入ります
- WordPress 7.0 AI企画案 ― 今回のハンズオン体験を踏まえ、「学生がブラウザだけでAI機能を触れる」企画を提案できます
- 継続支援 ― 開催後の伴走(学生作品のレビュー・キャリア相談)まで責任を持ちます
「相談だけでもOK」というのが、Automatticの花森さんが繰り返し強調していたメッセージです。まずはお話を聞かせてくださいというスタンスで構いません。
ご連絡は、エル・タジェールのお問い合わせフォーム、または https://shinichi-miyazaki.website からお願いします。
次の対話の場 ― 連続するWordPress×教育のイベント
WordPress×教育の流れは、5月も止まりません。すでに以下が控えています。
2026年5月8日(金)16:00〜17:00 JST 産総研人工知能技術コンソーシアム(AITeC)にて、Automattic花森海音さんが再度登壇。テーマは「自分のためのAIから、社会に届けるAIへ ― WordPress AI Leaders と日本版構築への招待」。オンライン・無料。 申込み → aitconsortium.doorkeeper.jp/events/196658
2026年5月9日(土) 日本初の WordPress Campus Connect が、日本経済大学STATIO(渋谷駅直結)で開催。高校生・大学生・専門学校生 30名・参加費無料。 申込み → campus.wordpress.org/tokyo/Japan-University-of-Economics/
2026年5月20日(水)19:00〜21:00 Tokyo WordPress Meetup「5月勉強会 ― WordPress 7.0リリース & 固定ページの実装方法について話そう」(さくらインターネット東京支社)。 申込み → meetup.com/tokyo-wordpress-meetup
私もできる限り参加していく予定です。WordPressの未来が動いている瞬間に立ち会いたい方は、ぜひ現場でご一緒しましょう。
まとめ ― AIと教育、2つの柱が同時に動き始めている
今回のTokyo WordPress Meetupで強く感じたのは、WordPressが「AIをコアに取り込む」という技術的な節目と、「次世代を育てる」という社会的な節目を、同時に通過しようとしているということでした。
そして、この2つは別々の話ではありません。WordPress 7.0のAI機能を学生が触れる場をつくる ― これがCampus Connectの最も自然な企画になり得ます。「教育の入口」と「最新技術への入口」が、同じドアになる。
私は、この扉を立教大学にも開きたい。
WordPressに学ばせてもらってきた身として、次は学生に手渡す側に回りたい。デジタル庁デジタル推進委員として、つくば市ワンストップ窓口相談員として、ウェブ制作の現場で日々学んできたことを、母校の後輩たちに渡せる機会があるなら、何としても掴みたい。
千葉、東京と続いた2回のミートアップで、自分の中の決意は明確になりました。お力を貸してくださる方、ぜひご連絡ください。一緒にやりましょう。

