この記事の要点
- 強みが言葉にできないのは、実力不足ではなく「自分にとっての当たり前」が見えていないだけ。
- 紙とペンで30分、4つの問いに順番に答えるだけで、選ばれる理由の芯が言葉になります。
- コツは、自分でひねり出した美辞麗句ではなく「お客様が実際に口にした言葉」を使うこと。
- 言葉にできたら、それが本当に伝わるかは“反応の数字”で確かめる。勘を、データで裏づけます。
「うちの強みって、結局なんだっけ」。夜、見積もりやサイトの文章を前にして、ペンが止まってしまう。そんな経験はないでしょうか。
腕には自信がある。お客様にも喜ばれている。それなのに、いざ「ひとことで言うと?」と聞かれると、急に言葉が出てこない。これはあなたの実力の問題ではありません。本当にいい仕事をしている人ほど、自分の強みを語れないという、よくある“伝わり方”のつまずきです。
この記事では、専門のコンサルタントがいなくても、紙とペンだけで30分あれば自分の強みを言葉にできる手順を、順を追って紹介します。
なぜ「自分の強み」ほど言葉にできないのか?
自分の強みは「毎日やっている当たり前」になっていて、本人には価値として見えなくなっているからです。
あなたが時間をかけて丁寧にやっていること、当然のように守っている段取り、お客様にかけている一言。それは長くやってきた人にとっては「普通のこと」です。でも、はじめて来たお客様にとっては、それこそが「ここにお願いしてよかった」と感じる理由だったりします。
強みとは、特別な必殺技のことではありません。あなたが当たり前にやっていて、よその人はやっていないこと。この“ズレ”の中にこそ、選ばれる理由が眠っています。だから一人で頭の中だけで考えると、当たり前すぎて素通りしてしまう。書き出して、外から眺める作業が要るのです。
強みを30分で言葉にする、4つの問いとは?
「誰が・なぜ・何と比べて・どう変わったか」の4つを、お客様一人を思い浮かべながら順に書き出します。
完璧な文章を目指さず、箇条書きで構いません。タイマーを30分にセットして、次の順番で進めてください。
問い1:直近で一番喜んでくれたお客様は誰か(5分)
顔が浮かぶ実在の一人に絞ります。「なんとなく全員」では言葉がぼやけます。
問い2:その人は、来る前にどんなことで困っていたか(10分)
症状・悩み・不安を、その人が言っていた言葉のまま書きます。「他をいくつか回ってダメだった」「家族に言われて渋々来た」——生々しいほどいい。
問い3:あなたは、よそと比べて何をしたか(10分)
「いつもより念入りに説明した」「原因をその場で図にして見せた」など、自分では当たり前の行動を具体的に。ここが強みの原石です。
問い4:その結果、その人はどう変わって、何と言ったか(5分)
「表情が明るくなった」「“ここにして正解でした”と言われた」。お客様が口にした言葉を“ ”付きでメモします。
この4つがそろうと、「◯◯で困っていた人が、△△によって、□□になる」という一文が自然に立ち上がります。それがあなたの強みの芯です。
お客様の声をどう「強みの言葉」に変えるのか?
自分で考えたキャッチコピーより、お客様が実際に言った一言をそのまま使うほうが、はるかに伝わります。
「丁寧な対応」「高品質」「親身」——こうした言葉は、誰でも書けてしまうがゆえに、読む人の心を素通りします。一方で、お客様が口にした「他では“様子を見ましょう”で終わったのに、ここは原因をちゃんと説明してくれた」という一言は、具体的でリアルです。
やることはシンプルです。問い4でメモした“お客様の言葉”を、サイトのトップや自己紹介の一行目に、加工せず置く。美しく整えた瞬間に、嘘っぽくなるのがこの世界の難しいところ。あなたの仕事の価値は、すでにお客様の言葉の中にあります。新しく作るのではなく、拾い上げて、見える場所に置き直すだけです。
実際にこの「お客様の声を起点に強みを言語化する」考え方は、別記事の強みを1枚にまとめる言語化ワークでも掘り下げています。あわせて読むと、手を動かしやすくなります。
言葉にした強みが本当に伝わるか、どう確かめる?
「いいと思う」で終わらせず、サイトの反応や問い合わせの変化という“数字”で裏づけます。
強みの言葉は、一度書いて終わりではありません。実際にサイトや名刺、初回の挨拶で使ってみて、お客様の反応がどう変わるかを見ます。たとえば、トップページの最初の一文を入れ替えたら、問い合わせフォームまで読み進める人が増えたか。初回相談で「それ、まさに探してました」と言われる回数が増えたか。
ここでエル・タジェールが大切にしているのが「ブランド × データ」という考え方です。あなたの“らしさ”を言葉にするのがブランド、その言葉が本当に効いているかを誠実に確かめるのがデータ。勘を否定するのではなく、勘を数字で裏づける。長年の現場感覚は財産です。それを「気のせいかどうか」で終わらせず、事実で支えてあげる。これが、煽らずに成果を積み上げる作法です。
宮崎自身、ウェブ解析士・SEO検定1級として数字を扱う一方、ブランドマネージャーの視点で「言葉にする」工程を大切にしてきました。どちらか一方ではなく、両輪だからこそ、専門家の“本物”が正しく伝わる形になります。
一人で言葉にできないときは?
第三者に「あなたの当たり前」を指摘してもらうのが、いちばんの近道です。
4つの問いをやってみても、「これでいいのか自信がない」「そもそも喜ばれたポイントが分からない」ということは珍しくありません。当たり前すぎて自分では気づけない——それは弱さではなく、長くやってきた人の宿命のようなものです。
エル・タジェールの30分無料診断では、あなたのサイトや事業を外から見て、「お客様から見たときの、あなたの本当の強み」がどこにあるのかを一緒に言葉にしていきます。売り込みではなく、まず事実を見せる場です。「うちの強みって何だっけ」のモヤモヤを、一度ここで言葉にしてみてください。
ほとんどの場合、「強みがない」のではなく「当たり前になりすぎて見えていない」だけです。直近で喜んでくれたお客様一人を起点に4つの問いをたどると、必ず“よそと違う行動”が出てきます。それが強みの原石です。
アンケートを取る前に、まずは記憶からで構いません。「ありがとう」と言われた場面、リピートしてくれた理由を思い出して書き出すだけでも十分なヒントになります。その後、次の機会に一言「決め手は何でしたか?」と聞いてみると精度が上がります。
サイトのトップの一行目、自己紹介、見積書の挨拶文、SNSのプロフィールなど、お客様が最初に目にする場所です。複数に散らさず、まず一番見られる場所から置き換えるのがおすすめです。
逆効果になりやすいです。お客様は専門用語ではなく「自分の悩みの言葉」で探しています。専門性は、難しい言葉ではなく具体的な事実とお客様の声で示すほうが、はるかに信頼されます。

